2015 Fiscal Year Research-status Report
租税支出効果のディスクロージャーおよび評価・分析のための会計学的研究
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26380640
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
古田 美保 甲南大学, 経営学部, 教授 (90368473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 選哉 大原大学院大学, 会計研究科, 准教授 (00341199)
古市 雄一朗 大原大学院大学, 会計研究科, 准教授 (40551065)
石川 恵子 日本大学, 経済学部, 教授 (70343647)
藤井 誠 日本大学, 商学部, 准教授 (80409044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 租税支出 / 税務会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度においては、2014年度の実績を踏まえ、租税支出決算書の作成による公会計及び租税特別措置透明化法適用額明細書の連携と利用可能性の改善の観点から検討を行った。 諸外国の事例としてアメリカGASBにおけるtax abatementの開示規定草案を参照しながら、まずは公会計財務諸表における租税支出の開示の可能性とその意義について検討を行った。また、諸外国の租税支出レポートの利用可能性の課題が租税支出の全てを一覧していることにも原因があると考え、機能ごとの分類の観点から所得税と法人税の租税支出に対象を絞って検討を行った。具体的には、所得税における給与所得者の租税支出についての推計と、法人税における租税支出項目の識別を行い、分析を開始した。いずれの検討に当たっても、従来の租税支出測定手法である歳入損失法ではなく決算額を基礎とすることにより、その分析可能性が高まったと考えられる。 また、検証可能性や分析可能性を高め、かつ、財務諸表の有用性を高める観点から、法人企業の財務諸表への租税支出額への開示のあり方についても検討を行い、その情報と租税支出レポートとの連携による租税支出政策の効率性や情報価値についても検討を開始した。さらに、租税支出対象ごとの分析を行う観点から、非営利法人への租税支出についても並行して検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
租税支出レポートについて決算書として検討を行うことにより、会計情報としての有用性が飛躍的に向上し、かつ既存の財務会計情報との連携可能性についても検討しうることが明確に合意できている。また、公会計における租税支出情報の必要性は予算策定にあたっての検討資料としての価値にあると考えられるが、予算案策定にあたっても租税支出決算書及び租税支出情報を記載した財務諸表が有用である可能性も指摘し、その検討を行っているところである。租税支出決算書の作成や財務諸表上の表示についての具体的な検討課題の抽出も既に行っており、今年度の研究の方向性とまとめ方についておおよその合意を得ているほか、各研究分担者の専門領域における租税支出情報の活用可能性等の新たな研究課題についても見出しており、テーマに沿った研究を深めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおよその研究の方向性については合意の上、最終報告書における構成と各自の分担について決定している。日本における租税支出の現状分析については、公表統計値や上場企業の財務諸表を利用した推計によることとし、データの分析を開始している。 また、各自の分担研究の相互連携を確認するために、おおよそ2ヶ月に3度ほどのペースで研究会を行うことで全体の方向性の調整を行い、各自の研究成果の公表も図っていくことで合意している。
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Causes of Carryover |
最終年度においてデータの収集と分析のために人件費を予定していること、及び、最終報告に向けた研究会のための旅費を確実に確保する観点から、また、最終年度の研究に当たって必要となる研究費の再配分を行う観点からも、繰り越し可能な額について集約の上、各自可能な範囲で繰り越しを行った。また、学会や他の研究会での出張の折に会合を設定することにより、旅費について節約が可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍、研究会旅費、無線LANルーター等のほか、実証研究に必要となる謝金を予定している。
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Research Products
(5 results)