2016 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Study on The Influence of Subjective Socioeconomic Status on Health Outcomes
Project/Area Number |
26380649
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
神林 博史 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20344640)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 格差 / 主観的社会的地位 / 健康 / 社会階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、主観的社会的地位(以下「SSS」)と健康の関係に注目し、両者をつなぐメカニズムを実証的に解明することにある。 最終年度となる平成28年度では、27年度に行ったインターネット調査の分析およびその成果報告を行った。SSSと健康をつなぐメカニズムとして、(1)心理的資源、(2)相対的剥奪、(3)損失回避性、の3つの要因に注目し、これらがSSSと健康の関係をどのように媒介するかを明らかにすることが本研究の主要な関心である。 分析の結果、以下の三点が明らかになった。第一に、今回のデータではSSSと心理的資源の関係が先行研究ほど明確でなく、SSSと健康の媒介要因としてはあまり機能していないことが明らかになった。この結果がデータの特性に起因するのか、何らかの実質的なメカニズムが働いた結果なのかついては、今後さらに詳しく検討する必要がある。第二に、相対的剥奪と損失回避性は、SSSと健康の関係をある程度媒介することが明らかになった。また、相対的剥奪の複数の指標の効果を比較検討したところ、収入のような特定の社会経済的要因に注目する指標よりも、消費も含めた総合的な生活状況の剥奪状態を表現する指標の方が明確な効果を持つことがわかった。相対的剥奪については従来から様々な操作化が行われてきたが、本研究の知見はこの問題に重要な示唆を与えるものと言える。第三に、3つの媒介要因の効果をコントロールしても、SSSと健康の関連は完全には消失しなかった。このことは、今回注目した3つのメカニズム以外にも、SSSと健康の関連を作り出すメカニズムが存在することを示唆している。 以上の成果について、3編の学会報告を行った。現在、学会報告での質疑等をふまえ、最終的な成果となる学術論文を執筆中である。また、インターネット調査で得られた知見を一般向けに紹介するパンフレットを作成し、ウェブ上で公開した。
|
Remarks |
本研究課題の一部として平成27年度に実施した社会階層と健康に関するインターネット調査(2015年12月)の結果を、一般向け成果報告パンフレットとしてまとめたもの。
|
Research Products
(4 results)