2014 Fiscal Year Research-status Report
外国人介護労働者受入れ制度に関する研究~在留資格『介護』に焦点を当てて~
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26380653
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
塚田 典子 日本大学, その他の研究科, 教授 (10322497)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国人介護労働者 / 在留資格「介護」 / 技能実習制度 / 全国アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、無作為抽出された全国の介護現場の専門職(施設長と介護職員)に対して郵送アンケート調査を実施することにより、介護現場における外国人労働者受入れに対する意識を把握することを目的とした。また、2008年度の全国調査結果と比較して6年間の意識変化を明らかにするとともに、新たな在留資格『介護』の導入や『技能実習制度』で介護職員を受け入れることに対する賛否や理由等を全国レベルで集約することを目的とした。さらに、国内外の外国人介護労働者に関する文献目録集を作成することによって、グローバル社会でわが国が進むべき新しい介護人材の確保に関する施策に役立つ基礎データの提供を目的としている。 新たな在留資格『介護』および『技能実習制度』に介護領域を加えることに関する全国の施設長や介護職員の意識に関する基礎的なデータを収集することは、斬新な試みである。また、今回の全国調査結果を、2008年の全国調査結果と比較することにより、全国の施設長の6年間の「意識の変化」が明らかにでき、独創性に富む。さらに、今回は、無作為抽出によって得られた結果であるため全国に調査結果を一般化できるという点で学術的にも意義深い。なお、施設に関する専門職団体は、内部情報としてはデータを収集しているかもしれないがなかなか公表されにくい。そこで、中立的な立場で、全国の介護現場を対象に調査をすることは、わが国が今後様々な方法で介護職員を確保するために、外国人介護労働者の受け入れを議論していく上で、政策上有意義な基礎データとなることは必至である。 今年度は、全国無作為抽出された施設の施設長と介護職員の意識を郵送アンケート調査で把握し、その調査結果ダイジェスト版を作成して2月には希望者(回答者)に送付した。また、日本弁護士連合会の勉強会での発表や米国学会開会講演等、本研究の一部を新たに発表・情報発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
職場引っ越し(7月)のため、全国調査の調査開始がやや遅れたものの、施設長及び介護職員の調査票はほぼ計画通り回収できた。また、回収された調査票のエディティングやデータ入力及びクリーニングが1月に入り込み、地域特性のデータが加えられなかったが、以下の3点で、研究結果の発信を行った。 (1)全国調査に協力した施設長で、調査結果のダイジェスト版を希望した人には、2月末日までに、郵送約80名とPDFファイルによるメール配信で約90名合計約170施設に送付を終了した。 (2)2014年3月5日が発表要旨の投稿締切日であった、2015年度11月に米国オーランド(フロリダ)で開催予定の、第68回米国老年学会(GSA: Geronotologial Society of America)での口頭発表のために発表要旨を投稿した(投稿番号:#2221145)。 (3)3月31日(火)に日本弁護士連合会の外国人介護労働者プロジェクトの勉強会でも全国調査の結果を発信・共有した。
これらのことを総合して「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、当初の計画通り、以下3つの流れで研究を進める。
(1)H26年度の全国調査結果のデータセットに、施設がある地域社会・人口特性データ(総人口、高齢化率、出生率、人口増加率、第一次産業就業者比率、外国人人口、高齢者単身世帯の割合、最終学歴、財政力指数等)を加えて総合的なデータセットを完成させ、多変量解析を行える状態にする。 (2)H26年度の全国調査で完成したデータセットと、2008年度全国調査結果をマージ(統合)して、6年間の意識変化について関連要因を分析し、その研究成果を発表する。 (3)国内外の外国人介護労働者関連の文献検索を進め、最終年度に、充実したBibliography(文献目録集)が発行できる状態にまで、今年度は文献検索を鋭意実施し、その文献リストのアップデイトをしていく。
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Causes of Carryover |
当初、全国調査の調査票は、研究代表者が所属する研究機関のコピー機を用いて印刷する予定であったが、職場ではコピーが不可能とわかり、急きょ印刷会社で調査票を印刷した。そのため、その他(印刷費)が予想外にかかり、人件費・謝金を削ってその不足分に充てた。人件費・謝金の費目の残高と研究補助のと方の時間をにらみあわせながら、予算を使用していったが、1849円分が使用しきれなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の人件費・謝金に使用する。
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