2017 Fiscal Year Research-status Report
地方財政における自律的な持続可能性の創出を探究する比較社会学研究
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26380656
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
湯浅 陽一 関東学院大学, 社会学部, 教授 (80382571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地方財政 / エネルギー / 財政社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
単著『エネルギーと地方財政の社会学-旧産炭地と原子力関連自治体の分析』を2018年3月に春風社より刊行した。受給中の科学研究費に加え、過年度に科研費による助成を受けて実施した研究の成果を集約したものである。財政破綻やその危機に苦しむ旧産炭地や、原子力関連施設に財政や経済の面で深く依存している自治体の状況を対象に、財政社会学の視点から分析した。その結果、自治体の財政は国レベルや国際社会レベルの様々な動向の影響を受けやすく、その中で生じる様々な負担を転嫁されやすいことや、原子力関連自治体の財政が不安定であり、依存度を高めていかざるをえない構造にあることが示された。2017年7月には、「市場にアプローチする社会運動-市民団体による再生可能エネルギー事業を事例に」『関東学院大学人文学人文学会紀要』第136号:33-55を執筆した。原子力への依存度を深める地域との比較を行うために、再生可能エネルギー事業の展開により地域社会の振興を目指している団体の取り組みについて分析した。2017年10月21日には、台湾で開催された第6回東アジア環境社会学シンポジウム(the 6th International Symposium on Environmental Sciology in East Asia, ISESEA-6)において、Nuclear Waste as Burdensome Legacy in Japanを報告した。本報告では、財政措置を誘因とする原子力関連施設の立地を進めてきた結果として、電力を享受する都市部、原子力発電所の立地自治体、核燃サイクルの立地自治体、そして高レベル放射性廃棄物の処分地とのあいだで階層が形成されていることを指摘した。その中でも高レベル放射性廃棄物の処分地は最下層に位置づけられるため、立地がさらに困難なものとなっていることを、合わせて指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究の成果を集約した『エネルギーと地方財政の社会学-旧産炭地と原子力関連自治体の分析』を刊行することができた。未使用の研究費は、過年度において、機会の得られなかった国際社会学会(International Sociological Association)での発表(2018年7月)のために使用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年7月に国際社会学会(International Sociological Association)での報告を行なう。
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Causes of Carryover |
2018年7月に開催される国際社会学会(International Sociological Association)で報告を行うため。
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Research Products
(3 results)