2016 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Sociology on Relative Deprivations
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26380659
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中野 康人 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50319927)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 相対的剥奪 / ネパール / カースト / 計量社会学 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「相対的剥奪」が社会における「主観的幸福」や「不満」そして様々な「社会的な行動」に与える影響を実証的に明らかにすることにある。 平成28年度は最終年度であり、前年度の準備をふまえて、ネパールにおいて800人規模の調査票調査を実施し、同時に日本においても800人規模のネット調査を実施することを予定していた。しかしながら、2015年4月に発生した大地震とその後の現地の政治的混乱による調査環境の悪化に伴い、研究計画の変更を余儀なくされた。結果として、ネパール政府ならびにトリブバン大学CNASの現地研究者と協力して、ネパール国内の複数地点から2100人を対象とする調査票調査を実施しデータを得た。 年度内に三回の現地調査に赴いた。まず現地にて、調査地点の選挙人名簿及び各種統計データを入手し、当地の社会集団の分布と人口構成を確認した。また、調査データを現地研究者とともに分析し、カーストのみならず居住地域の違いによる社会状況の認識の差を明らかにすることができた。中央政府が計画する地方開発施策と各地方の住人のニーズと評価の間には大きな乖離があり、さらに各地域社会における階層構造による相対的な比較と相まって、多重的に不満が醸成されるメカニズムがあることがわかった。この研究成果は、現地発行の学術誌の特集記事として発表予定である。 また、多国籍・多言語での調査プロジェクトを効率的に進めていく上で、調査票・調査データ・コードブックなどを共有する規格を整備し、それを統計解析環境Rで処理するためのパッケージ DDIR の開発・改良にも取り組んだ。
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Research Products
(4 results)