2015 Fiscal Year Research-status Report
ボランティア行為の定着および展開のための日加比較研究
Project/Area Number |
26380662
|
Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
竹中 健 広島国際学院大学, 情報文化学部, 講師 (60609080)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ボランティア / ターミナルケア(終末期医療) / 日加比較研究 / ボランティア・プログラム / ボランティアの専門化 / ケア・ワークとボランティア / 死にゆく人と病める人 / 寄り添う人 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Windsor大学の医療倫理研究者Maria Giannotti氏と共同し、終末期医療にかかわるボランティア行為および、それを促す組織の在り方について日本とカナダとの比較を行っている。2016年3月には、Windsor大学において「死生観」の違い及びその倫理・法律の国ごとの違いがボランティア行為者に及ぼす影響について、議論を行った。 (2)日本とカナダの病院ボランティア組織のボランティアスタッフ養成のプログラムの比較研究をおこなった。具体的な役割期待とその期待に基づいた教育プログラムの違いをみた。さらにその違いのもとになった理念や期待の度合い(どの程度真剣にボランティアスタッフとして活用しようとしているのか)についても論じた。 (3)ケアにかかわる領域に従事する職種は、医療、福祉の順でこれまで徐々に専門職化が推し進められてきた一方において、看護師、ソーシャルワーカー、介護福祉士、ケアマネージャー等、こうした職種の制度化にともなって形だけは専門性を体裁として確立し、社会の中で標識化されてきたことに着目し、日本においては諸外国に比べてこうした職種に従事する人びとの専門性や職務遂行上の地位、その自由度は依然として低い事例に着目し、整理した。ボランティア行為者の役割も、医療や福祉の運営主体や行政に対しては、依然として従属的である。こうした現状が今後わずかでも変化していく可能性はあるのか、その糸口をとくに非専門職として医療や福祉の領域で活躍するボランティア行為者の存在に目を向けて考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会報告を区切りとして、それぞれのテーマごとに現在データの整理をしつつ、引き続きデータの収集に努めているところである。学会報告及びデータ収集は今のところ、予定通り順調に進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、日加双方のデータを整理し比較検討を行うための議論、執筆、出版にウエートを移していくことになる。秋には、日本社会学会大会において、テーマセッション「医療と福祉のボランティア:死にゆく人、病める人、寄り添う人の社会学」を開催し、コーディネーターとしてカナダからの研究者及び所属大学をはじめとする国内の医療と福祉分野のボランティア研究者との連携を深め、共同して研究を行っていく準備を進めているところである。6月には、関東社会学会においても、これまでの研究データを整理して発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
翻訳及び出版のための予定額が、会議の進行から次年度に繰り越されたため。研究そのものの遅れではなく、アウトプットの時期がずれたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に、出版およびそれに伴う会議の開催、移動にその分の支出が多くなる予定である。
|
Research Products
(4 results)