2014 Fiscal Year Research-status Report
地域社会における文化資源の活用に関する研究:近代芝居小屋を事例として
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26380664
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小野澤 章子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (30291850)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 芝居小屋 / 地域資源 / 文化資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の芝居小屋に関する基礎情報の収集と類型化および事例検討を実施した。具体的には、現存する全国の芝居小屋(約20館)を中心に、主として文献資料を基に基本的情報を収集した。それぞれの芝居小屋がもつ特徴を全体として把握するための指標として抽出されたのは、設立時期、設立主体、衰退期の対応、現在の使用状況等である。加えて、芝居小屋が設立された地域社会の社会的特徴(産業構造や歴史等)についても、重要な要因であることが指摘できる。また、既に廃館となっている芝居小屋についても同様な分析が必要であることが明らかになったが、これらの研究はこれまで充分に取り組まれていないことが判明した。 現在までに得られた情報に基づき、現存する芝居小屋の中から事例研究の対象とする芝居小屋について検討したところ、四国(香川県、愛媛県)の芝居小屋がもつ特徴の把握が重要であると考えられた。次年度以降これらの対象について重点的に取り組む予定である。 並行して上記の芝居小屋の実態を把握するために、地域社会における文化資源の果たす役割の理論的検討を実施した。各種の文化現象を資源という視点から分析する立場は、まだ十分な知見の蓄積があるとは言えず、文化的コンテンツ研究と共にハードも含めた資源としての文化に対するアプローチが必要であると言える。 以上のように本研究がこれまで明らかにした知見のもつ意義は、芝居小屋がもつ、地域社会が活用可能な地域資源としての多様な役割を明らかにした点が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として本年度の重点課題として掲げた、全国の芝居小屋についての情報収集と類型化、個別の事例検討のための情報収集、文化資源の活用に関する知見の整理について、それぞれ必要な研究成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究を推進する。課題としては、明治以降の文化的な社会事象の記録を収集するために、実際に利用可能な資料について、さらに重点的なリサーチが必要であること、特に地方における当該資料の収集を進めるための方策の検討が重要である。
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