2016 Fiscal Year Annual Research Report
Trans-Korean Cultural Text and Change in Korean Diaspora
Project/Area Number |
26380665
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
梁 仁實 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20464589)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 記憶 / 映画 / 在日朝鮮人 / アイデンティティ / ノスタルジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究執行の3年目となる今年度(2016年度)は2014年と15年で調査を行った1960年代前後の資料収集と分析、そして考察を行いつつ、主に以下の点に着目して、研究を進めた。 1)2015年度には戦後直後の日本において在日朝鮮人コミュニティ―の一つである朝連がどのような映像を作っていたかについて調べ、同時期に韓国の「文化」テクストが日本に受容される際、在日コミュニティがどのような役割を果たしていたのかについて考えていた。引き続き、今年度はその役割の担い手の一人(在日朝鮮人歴史研究所所長)に会い、インタビューを行う機会を得た。そして、在日朝鮮人の映画運動について貴重な資料を得ることができた。 2)また、研究成果の公開(世界韓国学大会、シンポジウム)にて、韓国で作られた文化テクストである本作品が1980年代のノスタルジアと青春という名前で再び韓国と日本社会で消費される過程について考察し、「文化的記憶」のなかにいかなる歴史的コンテクストが関与しうるのかについて考えたものである。 3)その一方で1970年代に在日朝鮮人のなかでは「初めて」商業映画を撮った李学仁について、日韓の社会的・歴史的背景をもとに、作られた彼の映画作品がいかに「政治的な」ものであったかについて調べ、佐賀女子短期大学において口頭発表を行った。 4)こういった研究実績を踏まえ、これからは「記憶」「歴史」「ノスタルジア」をキーワードにし、日韓のなかで作られる文化テクストが両国で消費される過程を「植民地表象」という視点から分析し、両国において「死なない過去」が現在にもいかなる影響を与えているのかについて考えていく予定である。
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