2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on innovation challenges of local industries and companies under the global economic recession from the viewpoint of sociology
Project/Area Number |
26380676
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤井 史朗 静岡大学, 情報学部, 名誉教授 (00145971)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 浜松 / イノベーション / グローバリゼーション / 生活過程 / 個体システム / 自己形成 / キャリア / 企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、1年延期した最終年として、①本研究目的・方法に沿った理論的デッサンと、②イノベーションに関わる技術者の自己形成過程についての実証的デッサンを行った。①理論的デッサンとしては、一昨年度までに明確にしたマルクス理論批判の基本観点に沿って、「個体」・「生命発露」・「生活過程」・「個体システム」の中心概念から、労働社会学会での議論を相対化しつつ、勤労者把握視点を整理した。そこでは、生命主体としての勤労者が、「資本」に規制された「労働者」としての姿にとどまらず、独自の精神的価値形成者として生命発露をする姿を描いた。②の実証的描写としては、浜松の技術者層の定位家族、学校での自己形成、大学での勉学と就職、プロジェクト参加や職場の仲間、技能者との関係の中での自己形成、海外勤務の経験、地域の社会関係を維持しつつの生活上の価値形成などの基本類型を描いた。これらの成果は、「浜松市近隣事業所に勤務する静岡大学卒業生の生活史と不況下の職場生活に関する調査報告書」(2017年8月、静岡大学情報学部情報社会学科社会学・人類学研究室)としてまとめた。 2015年12月に実施した、愛知・静岡・長野県の輸送用機器製造業企業のイノベーションと海外進出に関する配布調査は、160社(回収率17.2%)の回答を得ており、分析を進めている。その結果、一次サプライヤー企業では、海外展開の志向性と国内での新たな市場展開の志向性を持つ企業が併存し、異分野・次世代自動車等の方向での事業展開を志向して、人材形成を課題としていること、二次サプライヤーでは、海外展開よりもイノベーションの不断追求を目指し、若手育成により加工・組立技術の改善を図っていること、三次以下サプライヤーでは、納入先からの要請の下でやはりイノベーションの不断追求をしているが、人材育成が課題となっていることが分かった。今後より整理する計画である。
|
Research Products
(3 results)