2016 Fiscal Year Annual Research Report
New trend of strikes in Germany
Project/Area Number |
26380680
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩佐 卓也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00346230)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ドイツ / ストライキ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、現代ドイツにおけるストライキの新動向について、具体的分析と理論的検討を行った。ひとつは、ドイツの労働組合運動と政党との関係について、「 ドイツ左翼党における政権参加問題」(神戸大学大学院人間発達環境学研究科 研究紀要10巻1号)を発表し検討を行った。 また、事業所閉鎖をめぐるストライキについて検討を行った。意外にも、ドイツではこうしたストライキは1998年が最初である。従来から事業所閉鎖に際しては、事業所組織法に基づいて、従業員代表委員会と使用者が補償金や再就職支援などについて協定する「社会計画」の仕組みが用いられてきた。しかし、交渉に際して従業員代表委員会はストライキを行うことができないという限界があった。 そこで近年では、社会計画の内容を労働協約によって規定する場合がある。この労働協約を「社会協約」という。社会計画と異なり社会協約の場合は、使用者と労働組合が交渉当事者であり、労働組合はストライキの威力を用いて、社会計画では達成できない水準の補償金などを勝ち取ることができる。社会協約締結を要求するストライキの合法性については、2007年に連邦労働裁判所が合法性を認めた。ただし、同判決は事業所閉鎖阻止そのものを要求するストライキについては判断を行っていない。通説は違法としている。それは事業所閉鎖は基本法が保証する「企業決定の自由」に含まれているとの理解に基づいている。この壁はかなり厚く、そこで、多くの事業所閉鎖の場合、労働組合は、閉鎖がコスト上割に合わなくなる水準にまで補償金の要求額を引き上げ、ストライキによってそのような内容の社会協約締結を呑ませようとしている。 このことについて「ドイツにおける事業所閉鎖とストライキ」として2017年6月の社会政策学会第134回全国大会にて報告し、その内容を論文として公開する予定である。
|
Research Products
(3 results)