2014 Fiscal Year Research-status Report
もう1つの南米系コミュニティ:沖縄におけるペルー移民家族と大学進学
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26380682
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
樋口 直人 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (00314831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (40302335)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在日外国人 / ペルー人 / 日系人 / 貧困 / 教育達成 / 進学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年度ということもあり沖縄に在住する13人のペルー系移民(日本国籍取得者含む、No.1-13)に対して広く聞き取りを行った。この13人は、日本に学齢期になってから渡航し、日本で学校教育を受けた者に限られる。そこで明らかになったのは以下の通り。 1)親族のサポート、推薦入学の積極的活用など進学させようという学校の姿勢、定住生活にともなう親の指向や社会関係の安定性。いたんトラックから外れても、トラックに復帰させるような社会環境がある。本土にあって沖縄にないのは高い賃金水準だが、それでは進学状況を説明できない。 2)同じ親族でも、本土にいる場合には「大学に行く」という前提がないことが多いという(No.3)。No.3-5のキョウダイの場合、1人は沖縄の文系に、2人は本土の私立理系に行ったため、両親は学費捻出するため千葉にデカセギしている。絶対に大学に行きなさいという両親の強い方針(そうした傾向は、No.6や10も言及)。沖縄の方が正社員の比率は高いが、賃金は本土の派遣社員の方が高い。沖縄で経済的に有利なのは、親族から土地や家を譲渡される者が比較的多いこと。金銭的な余力という点では、リーマンショック前ならば本土居住者の方があったと思われる。 3)南米出身生徒が増加した90年前後、沖縄市では土曜日の放課後に全市から生徒を集めて日本語教室を開いていた(教頭が送ってくれたりしたという)。その時の受講生が今でもタノモシを行うことに体現されるように、社会関係が非常に安定している。日本語教室の後に皆でバスケットをいつもやるなど、ピアグループとしての精神的な安定も得られていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに調査を進めているから。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象者の子ども世代が進学を控えており、その意味で第二世代の教育まで視野に入れた研究が必要になってくる。
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Causes of Carryover |
3月に調査出張を予定していたが、残額37520円では計画していた調査を行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額37520円は、2015年度請求額と合わせ、沖縄調査のための旅費に使用する予定である。
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