2016 Fiscal Year Annual Research Report
Another mode of incorporation into Japanese education system: Educational attainment of Peruvians in Okinawa
Project/Area Number |
26380682
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
樋口 直人 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (00314831)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 移民 / デカセギ / ペルー人 / 日系人 / 第二世代 / 教育 / 進学 / 外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に得られた知見をもとに、沖縄よりもむしろ本土出身で大学進学を果たした移民1.5世ないし二世に聞き取りを行った。そこで得られた知見は以下の通りである。 1、沖縄の制度環境や社会関係資本が、移民若年層にとって進学に有利に働くことは確かだが、より大きな要因として「居住の安定性」があると思われる。沖縄と本土の進学率の差には、確かに制度や親族サポートの違いにもよっているが、安定して居住していることが進学により強い影響を及ぼしているとみたほうがよい。実際、本土調査において大学進学を果たした若年層は、(非正規滞在者も含めて)居住地が一定であるという共通の条件があった。 2、一般入試での外国籍合格者がみられるようになったという指摘もあるが、対象者の圧倒的な比率は推薦やAO入試など特別入試によって大学進学を果たしていた。特に国公立大学ではセンター試験という大きな障壁があるがゆえに、推薦入試がほぼ唯一の進学への経路となっている。これに対して、外国人入試を導入した宇都宮大学のような取り組みが必要であり、研究上の知見として指摘しておきたい。 他方、以下のような課題も浮かび上がった。 3、本土においても、偏差値の低い(30台)公立高校が存在する県の方が外国籍生徒の高校進学率が高いという鍛治致の知見、進学対策をきちんと行う伊賀市では高校進学率が高いというオチャンテ・ロサの知見がある。我々の調査は、個人単位で行っており地域的にはばらばらな調査対象者に聞き取りしているため、こうした制度環境の影響を射程に入れることができない。これは、今後の比較研究によってしか明らかにできない課題であり、たとえば異なる進学率を示す外国人集住団地の比較といった地域性を視野に入れた研究が必要であることを示す。
|