2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380684
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
保坂 稔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (80448498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然エネルギー / 価値的保守 / 人智学 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境先進国ドイツでは自然エネルギー事業が盛んであるが、環境運動を分析する枠組みとして「リスク論」や「新しい社会運動」といった視点が存在してきた。しかしながら、これまでの研究では、理念を扱う「文化的視点」が乏しかった。本研究では自然エネルギーを論じるにあたって用いられる「持続可能性」に、文化的視点が必要であるという仮説のもと、バーデン・ヴュルテンベルク州シュットットガルト市議会議員を含め7名にインタビューを実施した。 インタビュー調査の結果、シュットットガルト近郊のシュヴァーベン地方においては、自然エネルギー推進にあたって「価値的保守」の視点が有効であること、そして「価値的保守」という言葉は1960年代に登場したという語りを得た。「価値的保守」は、多くの人が宗教的由来を持つと考えており、このため日本における「持続可能性」と差異が見られる可能性があることを明らかにした。また有機農法には積極的な人智学者が、太陽光発電には懐疑的という知見も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツの自然エネルギー事業の現状にする文献研究について実施し、加えてインタビュー調査も実施した。「価値的保守」の由来について、自然エネルギー事業関係者を含め、幅広い環境運動関係者から詳しく聞くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
自然エネルギー事業関係者の動機をインタビュー調査で聞くことが必要であるが、為替が円安傾向であり、現地調査の実施に支障が出ることが予想される。調査地点や調査人数を含め、調査規模を再検討することで対応する。
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