2018 Fiscal Year Research-status Report
日米核燃料サイクル政策変遷に太平洋島嶼地域住民運動が与えた影響の実態解明
Project/Area Number |
26380689
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
樫本 喜一 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (10598965)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 原子力政策 / 核拡散防止政策 / 核燃料サイクル政策 / 日本近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
日米核燃料サイクル政策に太平洋島嶼地域住民運動が与えた影響という課題につき、当該年度については、日本側の主要な政策決定機関の一つである通商産業省(現経済産業省)の核燃料サイクル政策との関連について調査、検討した。1970年代後半の日本と米国の核燃料サイクル政策の動向については不明な部分が数多いが、その中でも特に日本側の主要な政策推進政府組織・主管官庁である通産省の意思決定過程とその政策意図については解明が進んでおらず、他の官庁、例えば科学技術庁や外務省などと比較して研究も少なかった。そうした点を考慮し、今まで考察されてこなかった点について明らかにした。本研究課題を考察する上で、かつ研究を現在進行形の政策課題の解決に資する上で、この点は極めて重要と思われる。 なお、詳細については別途論文に譲るが、本年度の研究実績として特筆すべきは、現在の通商政策にまで連なる核燃料サイクルを含む原子力発電プラント輸出構想が、当時の通産省が行った政策決定の背後に存在した点を指摘した箇所である。 核燃料サイクル政策のもつ日本国内における現時点での重要性に鑑み、現在、今までの研究期間において明らかにした成果については、書籍にまとめて刊行する計画が複数進んでいる。(1冊は共著として『奄美 日本を求め、ヤマトに抗う島』南方新社より2019年3月刊行)また、直近の成果については1本の論考にまとめて以下のタイトルで発表した。「通商産業省は原子力産業帝国の夢を見るか? プラント輸出戦略と国内商業再処理」『現代生命哲学研究』(第8号)2019年3月、33-56頁
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度後半、期間延長申請書にて説明した状況により本研究課題の進捗状況に大幅な遅延が生じた。突発的な事情のため年度内で対処できなかったので、期間を延長して改めて研究課題に取り組むこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は期間を延長した結果、最終年度となっている。研究の完成に向け本来の計画にあった調査やデータの取りまとめなど、効率よく作業を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)期間延長申請書にて説明した事情により、当該年度半ばより研究計画に大幅な停滞が生じたため。 (使用計画)現時点で状況は常態に復帰してきたため、残された調査や作業を効率的に実施し、挽回したい。
|