2016 Fiscal Year Research-status Report
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26380701
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
佐々木 正道 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 名誉教授 (30142326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 諒三 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (60220711)
安野 智子 中央大学, 文学部, 教授 (60314895)
矢野 善郎 中央大学, 文学部, 教授 (70282548)
森 秀樹 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00274027)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 信頼感 / 国際比較 / 実証的研究 / 価値観 |
Outline of Annual Research Achievements |
「信頼感」の新たな尺度構成(ノルウエーを加えた)とその価値観との関連について分析を重ねた。特に対人関係における信頼の9つの前提要因についての解明を試みた。比較対象は、高・中・低の信頼度の8カ国である。その結果、1.前提要因の「友人の紹介」がドイツとチェコを除く6カ国において高い割合を占めた。従って、シュトンプカの述べている“重要な他者”からの情報や紹介により信頼は伝播することが、高い割合で支持された。2. 信頼の前提要因は8カ国において、3つのクリーク(A、B、C)を形成し、Aは名声と人的ネットワーク、Bは高い獲得的地位、Cは同郷・同窓である。Aが、BとCと比べ、各国とも高い割合を占めている。クックらは、信頼できるか否かの判断を、ステレオタイプに基づいて行う場合があることを明らかにしているが、BとCはこれを支持している。また、Cの同郷・同窓に関して、人々は類似の要因を持つ人を信頼し、持たない人を信頼しない傾向があるという先行研究が支持された。3.各国とクリークとの関係は、国別の信頼の低、中、高に幾分対応している。信頼の前提条件として、欧米とアジアは、名声と人的ネットワーク、ロシアとトルコは獲得的地位と同郷・同窓を重視する。このことは、シュトンプカの「社会的地位・威信の階層が急勾配の伝統的、エリート層の支配する社会では、肩書、資格などを信頼の上位に位置付け、より民主的で平等な社会では、大衆からの人気の高さやメディアでの露出度などが重視される」をある程度支持している。信頼の前提要因と年齢との関連は、6カ国(アメリカ、日本、台湾、ドイツ、チェコ、フインランド)で若年齢層が名声と人的ネットワークを重視し、5カ国(アメリカ、ドイツ、チェコ、トルコ、フインランド)で高年齢層が高い獲得的地位を、そして3カ国(日本、台湾、チェコ)で高年齢層が同郷・同窓要因を重視している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析の仕方で間違いが見つかり、再分析に手間どったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「信頼感」に関する高次の社会学的理論構築のため、さらなる分析を行う。2. 今までの研究成果を踏まえ、中央大学社会科学研究所が開催する、「信頼感」についての国際会議(平成29年11月:東京)に関係する国内外の研究者を招聘する。3.専門誌 "Comparative Sociology"で「信頼感」の特集号を発行し、研究成果について掲載する。4. Brill Academic Publishersから 編著 "Trust in Contemporary Society"(出版契約済)を出版する。
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Causes of Carryover |
当初予定のノルウエーでの全国調査において、委託調査会社の調査費の見積もり額が交付決定額を相当オーバーしていたため、委託調査会社の変更を検討し、意識調査において実績があり、信頼できるIPSOS調査社にオムニバス方式による全国調査を委託し実施した。そのため、予算の余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以下の主に5項目のため使用する。1.「信頼感」に関する高次の社会学的理論構築に関する資料・文献収集を引き続き行うための費用 2. 中央大学社会科学研究所が開催する、「信頼感」についての国際会議(平成29年11月:東京)に関係する国内外の研究者を招聘するための費用。3.「信頼感」の特集号を専門誌 "Comparative Sociology"で発行するための費用。4. Brill Academic Publishersから 編著"Trustin Contemporary Society"(出版契約済)を出版するための費用。5.論文・編著書の中で、主に図表作成(統計分析結果に基づき布置図を新たに作成する作業)を委託するための費用。
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