2014 Fiscal Year Research-status Report
トランスナショナルなコミュニティとローカル・コミュニティの協働メカニズムの研究
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26380710
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
水上 徹男 立教大学, 社会学部, 教授 (70239226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エスニック・ビジネス / トランスナショナル・ネットワーク / エスニック・コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東京の都心を調査対象地としてエスニック・ビジネスの進展状況やエスニック集団が形成するトランスナショナルなコミュニティの実情を明らかにして、ローカルなコミュニティとの協働を実証的にとらえることである。本年度は、次のような調査を実施して情報収集を行った。 1.主な調査対象地である豊島区の外国人人口の推移や近年の動向をまとめた。とくに、インナーシティとしての池袋地区の特性を調べた。 2.池袋地区および新宿区の新大久保でフィールドワークを行い、エスニック・ビジネスの展開を調べた。 3.エスニック集団が開催するイベントなどに参加して情報収集を行った。とくに豊島区の登録人口の4%以上を占める中国出身者によるいくつかの活動に参加した。 4.商店会で聞き取り調査を実施した。エスニック・ビジネスの成立については、いくつかの店で情報収集をした。次のことなどが、地域の特徴としてあげられる。大久保地区はコリアン・タウンとして知られているが、近年とくにムスリム・コミュニティが拡大化の傾向にあり、ハラル食品を扱う店が顕著になってきている。また、チャイナタウン構想などが持ち上がった池袋では、道路に面したお店よりもビルの中で展開されるエスニック関係のお店が拡大化しているようである。 地域によって、異なる特徴があるが、いずれもエスニック・ビジネスが隆盛している。しかしながら、地元のコミュニティとのかかわりは、現時点では必ずしも活発ではない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域の特徴やエスニック・ビジネスの展開については、文献の整理や地域での聞き取りを含めて情報収集が進んでいる。エスニック集団によるトランスナショナルなネットワークやその回路については、2015年度調査で明らかにする予定である。また、地域の商店会などでの聞き取りによって、協働の可能性も見出したい。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに研究計画は変更していない。 象徴的な通りとして人々が集中する地区と、衰退化に向かう商店街の格差が顕著になってきている豊島区における地域再生とエスニック・ビジネスのかかわりなどを実証的にとらえたい。引き続きフィールドワークによる情報収集、文献整理を行う。
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Causes of Carryover |
昨年計画していた金額よりも文献等の支出が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の資料代に充当する。概念的な整理やフレームの確認を目的としたトランスナシュナリズムやエスニック・コミュニティに関する文献を引き続き収集する。またインタビュー調査や海外での報告などによる成果の公表、他の研究者との情報交換を予定している。
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Research Products
(6 results)