2016 Fiscal Year Research-status Report
近代の都市形成と軍用地-戦争アーカイヴ活用による歴史社会学的研究
Project/Area Number |
26380713
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 尚子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30339527)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軍用地 / 軍需産業 / 軍用食 / 物流 / ミルク / 牛乳 / 都市 / 近代日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近代都市の軍用地研究として、戦前期の都市における軍需産業を分析対象に文献および聞き取り調査を実施した。とくに歴史的アーカイブを用いて、生活構造を掘り起こし、食物を通して、軍需産業と生活実態を把握する方法を深めた。 明らかにできた内容として、近代東京におけるミルク需要と供給の関係を明らかにした。近代日本で牧畜が始まって、さほど受容がひろがらなかったが、軍隊が軍用食糧に取り入れることによって、牧畜業が進展し、牛乳が普及した一面を明らかにした。とくに海軍においては脚気などの予防対策のため、カルシウムや良質のタンパク質の摂取は重要で、長期の航海に缶入り牛乳を大量に軍艦に搭載した。牛乳の受容や社会的影響について また、このような軍需的利用に供するため、都市郊外における牧羊場の開発が進められたが、需給関係に影響されて、永続的に牧場経営を存続させることは難しかった。その後、広大な農業地がどのような土地利用に転換されていったかをあきらかにした。 以上のように軍用食糧の供給をめぐる産業の推移に関して、国際比較するため、同時代の欧米の状況について、文献資料を調査し、比較データの収集を進めた。そのなかで軍需産業に従事した労働者が団結し、生活協同組合を結成することによって、生活共同体を地域に構築し、相互の緊密なネットワークを形成することによって生活改善運動を展開していったプロセスを掘り起こすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の内容に基づいて、学会報告を3回、学術論文を1本、発表・公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
軍用食糧、軍需産業の実態を詳細に調査し、国際比較のデータを整える予定である。
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Causes of Carryover |
軍用食糧、軍需産業の実態を詳細に調査し、国際比較のデータを整える予定であるため、国際調査の旅費にするため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際調査の旅費
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