2014 Fiscal Year Research-status Report
出生前診断の限界―陰性と診断されながら障害ある児を出産した母親の困難体験とニーズ
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26380716
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 美也子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (80635441)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 出生前診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、障害児の親の会会員に正式に調査協力を依頼し、質的調査(面接調査)を開始した。対象者のリクルートに先立ち、出生前診断で障害の可能性が明らかになるケース、明らかにならないケース、それぞれの立場の母親の出生前診断への思いや体験を尋ねるため、これまでにも本研究者の調査にご協力くださっていた障害児の母親2名(ダウン症児の母及び自閉症児の母)にヒアリングを実施した。そしてこの二人の母親のネットワークを通じ、自閉症児に続く妊娠時に出生前診断を受け、検査陰性でありながら誕生した子に再度障害がみられたという母親に、面接調査を2回行った。当該母親は出生前診断で明らかになる障害は一部であると「十分承知した上で」受検しており、出生前診断を「自身を納得させるために必要なこと」「努力はしたという(世間に対する)ポーズ」であるとしていたが、その根底には「それをしないと社会から責められる」という思いがあった。当該母親は、結果として出生前診断でわが子の障害を知ることはできなかったが、受検を後悔しておらず、むしろ肯定的に受け止めており、本研究を継続してゆく中で、1つの重要な示唆が得られた。またこの成果の一部を学術大会において発表した。一方、医療者に本調査の対象者の紹介を依頼したところ、該当者はいるものの、当人がとても現実を受け止められる状況ではないということで紹介は得られなかった。このような母親の存在もまた、本研究を進めてゆく上で十分配慮しなければならない点であり、出生前診断を受ける妊婦の増加に伴い、こうしたケースへの対応、情報提供、支援のあり方について、早急に検討してゆく必要があると考えられた。引き続き、障害児の親の会などの協力を得、質的調査の対象者のリクルートを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査協力者に対象者の紹介を依頼しているが、非常にセンシティブな内容であり、対象者のリクルートに苦慮している。質的調査は平成28年度まで継続予定であることから、引き続きリクルートを続けるつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、出生前診断で明らかにならない障害をもつ子どもの親を対象に、量的調査を実施する予定である。また、質的調査のデータ収集、分析、国内外の学会発表を進めてゆく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外の国際学会での研究発表を国内で開催された国際学会での発表に変更したため、旅費の執行が少なくなった。また、面接調査への参加者がまだ少なく、本来専門業者に依頼する予定であった質的調査のテープ起こし、データの分析結果の英文翻訳を本研究者自身で行ったため、予定していた人件費の執行が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、平成26年度未使用額と合わせ、質問紙調査実施に伴う費用(質問紙・封筒などの印刷費、返信用切手、調査対象者及び協力者への謝金、データ入力)、学会発表及び論文投稿に伴う費用(英文校閲、旅費、投稿費)等に充てるつもりである。
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Research Products
(4 results)