2016 Fiscal Year Research-status Report
出生前診断の限界―陰性と診断されながら障害ある児を出産した母親の困難体験とニーズ
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26380716
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 美也子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80635441)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 出生前診断 / 障がい児 / 母親 / Well-being / Positive Change / ダウン症 / 自閉症スペクトラム / 医療者・患者コミュニケ―ション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は(1)質的調査を継続し、また(2)量的調査の分析を行った。
(1)質的調査では新たに9名の障がい児の母親にインタビューを行った。出生前検査を複数回受検していながら、同検査で明らかにならない障がいがあることを本調査時点まで知らなかった母親、胎児の健康情報(重篤な疾患、障がい)を医師から提供されることなく出産に至った母親らを中心に、妊娠中に児の障がいの可能性を知ることの難しさについて語られた。また、出生前検査に関しては、科学的な限界よりも、情報入手における限界(医師からの情報提供がないなど)の方が、母親の苦悩としてより多く表出されていた。さらに比較検討のために、異なる体験をもつ母親へのインタビューを計画している。
(2)量的調査は全国の障がい児の親の会の協力を得、2016年1~3月に障がい児を養育している母親2,311名に自記式質問紙を配布し、同年4月に回収を終了した(郵送による回答で回答者は1,133名、回収率49.0%)。当該年度は主に妊娠中に提供された児の健康情報(障がいの指摘を含む)、出生前検査の受検状況とその結果、出産時の予期せぬ出来事、医師の対応や医師とのコミュニケーションに対する満足度、児の障がいの受け止め方、well-beingとその促進要因の関連性を明らかにすることができた。またこれらの結果を、ダウン症児の母親と自閉症スペクトラム児の母親の2群で比較し、出生前検査で明らかになる障がいとならない障がいによる違い・特徴を示した。こうした当該年度の成果は、国際学会(2本)、国内学会(4本)にて筆頭者として発表した。今後も多角度から分析を深め、自由記述や質的調査の結果も踏まえた解釈を展開したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.質的調査については分析に時間を要している上、比較検討のために数名の追加調査が必要となった。2.量的調査についてはデータ収集は完了したものの、多角度から分析を行う必要が生じた。3.量的調査の結果解釈についても、1の追加調査で検証し、解釈の妥当性を高めることが必要となった。4.上記1~3の理由により、両調査の論文化にも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
質的調査の追加調査を早期に実施し、分析を終了する。 また、質的調査を参考に、量的調査の結果解釈について再検討し、質的研究・量的研究を完成させ、論文発表、学会発表につなげる。
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Causes of Carryover |
平成29年度も追加でインタビュー調査が必要になったこと、量的調査は分析が完成していないことから、論文執筆が遅れている。これにより、英文校正費用、論文投稿料として計上していた予算が使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質的調査の追加調査に伴う謝金、研究成果の国内外の学会発表及び英文校正費用、論文投稿料に研究費を支出する予定である。
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Research Products
(6 results)