2016 Fiscal Year Research-status Report
家事労働における感情と意識の構築過程-高度経済成長期を生きた女性の証言分析
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26380722
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Research Institution | Kyoto Kacho University |
Principal Investigator |
斧出 節子 京都華頂大学, 現代家政学部現代家政学科, 教授 (80269745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 俊郎 京都華頂大学, 現代家政学部現代家政学科, 准教授 (20632350)
新矢 昌昭 華頂短期大学, 歴史学科, 准教授 (70625699)
馬場 まみ 京都華頂大学, 現代家政学部現代家政学科, 教授 (80218677)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主婦化 / 高度経済成長期 / 女性労働者 / 創造的家事 / 京都の地場産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高度経済成長期以前の家族の役割構造と、高度経済成長期を経て性別役割分業化が進んでいった過程を明らかにすることである。本年度は、具体的な課題として以下の三点を設定した。 1.インタビュー調査票の見直しと作成、インタビュー調査の実施: 女性用のインタビュー調査票を再検討し、親世代の生活とインタビュー対象者の生活を対比して語ってもらえるように内容を変更した。また、男性用インタビュー調査票を新たに作成した。インタビューは、女性11名、男性11名の合計22名に行った。女性のインタビューは、京都の地場産業に従事して仕事を継続していた女性や雇用者の妻であった女性等を対象に行った。多様な女性の語りから、生活状況の違いによって女性の家事労働の実態と意識にどのような違いがみられるのかについて今後分析していきたい。また、男性に対しても自営業者と雇用者にインタビューを行った。次年度に、男性がどのような家事・育児を行い、妻の家事労働に対してどのような感情を抱いていたのかを分析し、明らかにしていきたい。 2.高度経済成長期の京都の地場産業に関する資料収集: 地場産業に従事していた女性にインタビューを行うため、高度経済成長期の京都の産業について広く資料を収集した。今後これらの資料を用い、産業の盛衰と従事していた女性の生活の変化、家事労働の変化について考察する。 3.高度経済成長期の女性の生活と家事労働に関する資料の収集と分析: 高度経済成長期の社会の変化と女性の生活状況の変化、家事労働に関する資料を収集し、経済発展にともなって生活が向上し、家事や家族のあり方が変化した過程を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の課題は、女性・男性にインタビューを実施することであった。本年度は女性10人、男性5人にインタビューをする予定であったが、実際には女性11人、男性11人に対してインタビュー調査を実施することができた。 また、高度経済成長期は農村から都市部への移動が盛んに行われ、それに伴い、家事労働に対する感情や意識が変化していくと考えられるが、これに関しては農村における家族内性別役割分業の実態を新聞記事資料をもとに析することができ、予定を上回る成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に取り組む課題は①インタビュー結果の分析と考察、②インタビュー調査の追加的実施、③研究成果の公開である。 これまでに、自営業者の妻、雇用者の妻など様々な生活状況の女性、多様な職種の男性にインタビューを行ってきた。今後は、さらにデータを補足するために若干のインタビュー調査を追加的に実施し、これらのデータを総合的に分析し、考察することが課題である。考察するに当たっては、高度経済成長期の家族・家事に関する研究者から専門知識の提供を受けることを計画している。インタビュー調査結果と、これまでに収集してきた資料を活用し、高度経済成長期以前の家族の役割構造と、高度経済成長期を経て性別分業化が進展した過程を明らかにしたいと考えている。 また、インタビュー調査の分析結果や研究成果を公開する方策を検討し実施する。
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Causes of Carryover |
本年度に専門知識の提供を受け、インタビュー結果の基礎的な分析を行う予定であった。しかし、インタビュー件数を増やしたことにより、インタビューの分析まで行うことができなかった。そのため、分析に必要な専門知識の提供を受けるまでに至らなかった。さらに、データを補足するための追加的なインタビュー調査の実施、資料収集も実施したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、追加資料を得るために、補足的にインタビュー調査を実施する。また、文献等の収集も不十分であったので、さらに収集していきたい。そして、専門知識の提供を受けて研究を進める。また、インタビュー結果の分析と考察に必要なソフト等を購入することを予定している。
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Research Products
(1 results)