2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on Immigration through Marriages and Family Structures in Japan and South Korea
Project/Area Number |
26380725
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
武田 里子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30570410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宣 元錫 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10466906)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結婚移住者 / 多文化家族 / 編入モード / ライフコース / 家族変容 / 東アジア / 複数国籍 / 国籍選択制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な調査対象は、台湾と韓国で暮らす居住歴20年以上の日本人結婚移住女性である。女性たちは50年代後半から60年代半ばに生まれ、高度経済成長を経て個人化が進み、家族関係が揺らぐ中で成人した。男女雇用機会均等法世代でもある。女性たちが結婚移住した90年前後の台湾・韓国は、民主化を契機に経済成長が本格化し、伝統的家族が変化しはじめた時期である。女性たちは日本と移住先国の家族と社会が大きく変化する時代を生きてきた。 最終年度にあたり、この女性たちの経験を記録として残し、今後の調査研究に活用できるよう報告書に収録することを決めた。2016年12月にソウルと台北で3つの座談会を開催し、参加者14名全員に記録を確認してもらい、匿名化して論文等で使用する許可を得た。2グループは居住歴20年以上、1グループは居住歴10年程度とすることで、世代と移住時期の違いが経験にどのような異同をもたらしているかが浮かび上がるよう工夫した。 また日本では、国際結婚を考える会(AMF)と研究会や意見交換を重ね、台湾と韓国のグループとの情報共有を図った。結婚移住者の共通課題は、1985年に父母両系制に国籍法が改正された際に導入された国籍選択制度を廃止し、複数国籍を容認する国籍法の改正を実現することである。 複数国籍の課題については、2016年10月に日本記者クラブでフランスとドイツで暮らす日本人結婚移住女性2名と共同記者会見を行なう機会を得た。韓国では2010年に重国籍を認める国籍法改正を行い、G8で婚姻や出生に伴う重国籍を全く認めていないのは日本だけになった。人の国際移動の広がりと少子高齢化を踏まえた今後の日本のあり方として、結婚移住者からの複数国籍についての提言は、日本人と外国人という二項対立に留まりがちな「多文化共生」の議論を深める視点も含んでいる。
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Research Products
(7 results)