2015 Fiscal Year Research-status Report
青少年の家庭内暴力に対する民間団体の取組と家族への支援
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26380729
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
井上 眞理子 奈良学園大学, ビジネス学部, 教授 (50137171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 青少年の暴力 / 子の親に対する暴力 / 家族支援 / 登録慈善団体 / エンパワーメント / 家族関係仲介 / 親学級 / システム的家族療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、英国において「青少年による家庭内暴力(adolescent-to-parent abuse)」に取り組み家族支援を行っている民間団体に関してインターネットによる調査を行った。その概要は以下のとおりである。 1、Parent Abuse And Reconcilitation Service(PAARS 英国) PAARSは、18歳以下の青少年の家庭内暴力に悩む親たちを支援する登録慈善団体であり、28年の歴史を持つ。彼らの活動は家族全体を対象とするが、目的は親たちのエンパワーメントであり、子どもたちと有効な関係を形成し、彼らの身体的、経済的あるいは言語的暴力を終わらせることにある。具体的な活動として家庭訪問、家族関係仲介、カウンセリング、学校との連携、親学級の開催、キャリア・アドバイス等がある。2、Family Lives(英国)1999年に設立された登録慈善団体である。その活動は青少年による家庭内暴力に特化されず、あらゆる種類の家族問題に取り組んでいる。具体的には、ボランティアによる親たちの交流会の開催、コミュニティや学校を舞台とする親たちに対するサポート、犯罪者の家族のサポート、軍人家族のサポート、反いじめプロジェクト等である。3,Wish for a Brighter Future(英国)2003年から活動を開始し、当初はドメスティック・バイオレンスと虐待一般を対象とする支援活動を行っていたが、2014年から子による親に対する虐待に活動内容を特化した。青少年の家庭内暴力に悩む家庭について親と子の双方に対する個人面接を13週にわたって実施する。4、Non Violent Resistance(NVR 英国)NVRはシステム的な家族療法であり、青少年の攻撃的・暴力的行為に対処するため開発された方法を英国で最初に採用した。様々な社会事業において効果を発揮している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
諸外国(とりわけ英国)における青少年の家庭内暴力(adolescent-to-parent-abuse)に対する民間団体による家族支援についての調査はおおむね順調に進んでいる。しかし他の国々における状況の調査は不十分であり、国際学会等に参加して情報収集を行うことを検討している。国内における青少年の家庭内暴力に対する民間団体による家族支援についての調査は未実施であり、平成28年度中に必ず実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」でのべたように、国内における青少年の家庭内暴力に対する民間団体についての調査の実施が平成28年度の課題である。さらに平行して諸外国における民間団体の支援に関する調査も継続して実施する。最終的に日本における民間団体による支援と諸外国におけるそれを比較し、民間団体の組織的特性、専門性、ボランティアの活用度、支援の具体的内容、効果、支援される家族の特性について比較分析する。また公的機関による支援との比較分析も行う。得られた結果については学会発表し、また単行本として刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していた国内における青少年の家庭内暴力に対する家族支援を行っている民間団体に対する調査が未実施であったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額244,426円に平成28年度助成金が200,000円を合算した金額444,426円のうち 100,426円は、国内における青少年の家庭内暴力に対する家族支援を行っている民間団体の調査に充当する。また344,000円については、平成28年7月にオーストリアのウィーン大学で開催される国際社会学会大会(Third ISA Forum of Sociology)参加費用に充当する。
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