2014 Fiscal Year Research-status Report
日本における離別後の共同養育の課題と可能性についての調査研究
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26380732
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
山西 裕美 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (00320482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 共同親権 / 共同養育 / 子どもの最善 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における共同養育、共同親権の可能性について、「子どもの最善」の視点から日本での離別後の養育の実態および共同養育についての可能性と課題を考え、またそのために東アジアでの先行国である韓国・台湾での共同養育の実際との比較研究を行うものである。 研究1年目に当たる平成26年度は、研究計画に従い、主に文献研究と2年目からの調査に向けての準備を中心に行った。文献や資料に基づく研究では、日本の親権制度について現行民法を中心に文献研究を行うとともに、昨年4月1日より日本も加盟することとなった「国際的な子どもの奪取の民事面に関する条約」(略称ハーグ条約)による引き渡しや面会交流など、平成26年度の国内での裁判所の判断や返還決定事例について事例を調べ、ハーグ条約に基づく共同親権や面会交流の保障などの国際的なルールと日本の単独親権制度でのこれまでの受け止め方との齟齬について検討した。 また、3年目に予定している共同親権、共同養育が取り入れられている他の東アジアの国における事例調査に向けて、昨年に台湾の都市規模の異なる3都市である台北市、新北市、基隆市の各市庁を訪問した際に、担当者より現地ひとり親家庭、特に母子家庭の現状や離婚後の親権の在り方についてヒアリングを行った。また、児童福祉施設やNPOなど民間支援団体にも訪問しインタビューを行い、ひとり親家庭支援の実際や、行政から委託を受け、両親の離婚に際して子どもの意見を取り入れるための実際の活動の様子について話を聴くなど、共同親権の台湾での実際と「子どもの最善」についての捉え方など、現地の状況を具体的に把握するよう努め、2年目以降に向けての東アジアでの実地調査への準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は主に文献や資料による研究を中心に進めているが、実際に台湾を訪問する機会があり、現地研究者の協力により、各自治体や民間支援団体などにもヒアリングを行うことができ、次年度以降の現地実地調査に向けての準備も進められたのでおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目に当たる平成27年度は離婚経験者に対して離婚後の子どもと離れて暮らす親との養育費や交流などの実際や共同親権や共同養育に対する意見などについて、国内におけるアンケート調査およびインタビュー調査を当事者団体や関連施設などの協力を得て実施・分析を行う予定である。また、3年目に行う海外調査の設計および具体的な設定を行う。3年目に当たる平成28年度には、初年度の訪問などより得た情報に基づき、共同親権の制度を持つ韓国や台湾など東アジアの国々において、現地でのインタビュー調査を行う。また研究4年目に当たる平成29年度は、所属学会大会での報告および論文作成などによって、研究成果の発信を予定している。
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