2016 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会を支える地域の保健医療福祉サービスのマネジメントに関する研究
Project/Area Number |
26380738
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 淳一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314083)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 退院時患者調査 / 患者の流れ / 実態分析 / 地域包括ケアシステム / 健康増進計画 / 評価指標 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の保健医療福祉サービスに関するマネジメントについて,とくに医療介護の現状分析のため,愛知県豊田市において中核病院を退院する患者に着目し,地域包括ケアシステムにおける退院後の患者の流れを明らかにした。2012年から2014年に豊田市市民福祉部が実施した「入退院時状況把握調査」および「退院に関するアンケート」を利用し,退院患者の流れ及び退院先別の患者の特徴を分析した。その結果,病院が把握している退院患者の退院先は,「自宅」が約7割,「死亡」「転院」と「施設入所」がそれぞれ約1割となっていた。「自宅」に戻った患者の約3割が在宅療養を予定しており,その約2割が訪問看護の利用を考えており,すなわち退院患者の約4%が在宅医療を利用すると推定された。退院後の患者の流れを,地域包括ケアにおける在宅医療推進の一つのマネジメント指標としてモニタリングすることにより,関係者全員で在宅医療推進のボトルネックの所在を確認・共有し適切な対策を実施するマネジメントの重要性について主張した。 また,健康づくり対策として2013年度から10年間を計画期間とする「健康日本21(第2次)」に着目し,愛知県内の市町村を事例として,市町村間の計画評価内容に相違が見られる要因を明らかにすること,今後の効果的な健康増進計画評価のあり方を提言することの2点を目的とし,いくつかの第二次市町村健康増進計画に記載されている内容をもとに市町村の評価活動の構造分析を行った。その結果,評価指標,グループ指標ともに健康分野によって指標数に偏りが見られた。さらに指標数に偏りが出る要因として評価する際のデータの得やすさの違いを指摘した。効果的な評価活動を展開していくためには,データが得にくい健康分野においても,保健所や市町村の組織内で情報共有を積極的に行い,効率的にデータ収集を行う必要性を提言した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・平成28年度は,計画当初の予定の「地域包括ケア推進のための具体的なマネジメント指標」に関する研究を実施した。在宅医療への移行が求められている現在,退院患者の流れを把握するための退院患者の動向をモニタリングする指標について研究を行うことができた。 ・しかしながら,平成28年度当初に予定していた日本全国の成功事例調査の収集および分析を行うことができなかった。一方で,愛知県内の地域職域連携推進事業に継続して参加,調査を進めることにより,事業のマネジメントの課題の継続的な分析を行うことができた。 ・また,市町村の健康日本21(第2次計画)に関する研究を進めており,今後の具体的なマネジメント方法のプロトタイプを開発するための情報を収集できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,これまでの研究から得られた知見を利用した「地域の保健医療福祉サービスのマネジメント」を支援するプロトタイプシステムの開発に取り組む。プロトタイプシステムは,関係者が協力・連携して保健医療福祉サービスを推進するためのシステムで,各関係者が取り組む事業の概要(背景・目的・具体的な内容・計画・想定するアウトプット・アウトカム等)を明確化し,関係者で共有するものである。なかでも,関係する連携事業において,共通の目的・目標の達成を支援するシステムの開発を目指す。
|
Causes of Carryover |
年度当初に予定していた,全国の地域包括ケアシステムの先進事例調査が実施できなかったため,先進事例調査の旅費の予算執行に相違が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,実施できなかった調査を今年度の計画と並行して,先進事例の調査旅費ならびにプロトタイプシステム構築の予算を計上する。
|
Research Products
(5 results)