2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study on social assistance system
Project/Area Number |
26380746
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
所 道彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (80326272)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 社会扶助 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際比較研究を通して、日本の生活保護制度の給付水準および制度構造上の特徴と問題点を明らかにすることである。日本における生活保護制度改革においては、常にその給付水準の妥当性が論点となってきた。特に、最低賃金との比較に議論が偏る傾向にある一方、一般の消費水準との対比を踏まえた国際比較研究が十分に行われてきたとは言い難い。そこで、本研究では、各国の社会扶助(公的扶助)の給付水準を、それぞれの国の消費生活水準との比較を通じて把握し、日本の生活保護の水準を検証することを目的としている。 2016年度は、2015年度のイギリスに引き続き、ドイツの5都市(ミュンヘン、シュツットガルト、アウグスブルク、フランクフルト、デュッセルドルフ)において、バジェット方式による生計費を推定するための資料を収集した。食料品や日用品のコストは、都市間において差がほとんどみられなかったが、品揃えについては、北部と南部で異なっていた。また、環境問題への対応が日本よりも徹底しており、そのコストなども生活費を推計する上でポイントとなることが確認できた。住宅コストについては、都市間での差異がある。また、今回訪問した都市においては、いわゆる日本的な戸建よりも集合住宅が多く、この点は都市部において労働者階層向けのセミ・デタッチド住宅を多数建設したイギリスと対照的といえる。 また、調査で得た日常生活費の費用をパッケージ化し、社会扶助の給付額と比較することで、その国の社会扶助の水準を比較することとした。イギリスと日本とを比較した場合、食費や日用品費に対してはイギリスの方が社会扶助の水準が高いというデータが得られたが、生活の多様化・差異などを踏まえてさらに検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)