2015 Fiscal Year Research-status Report
減災を求心力とした平常時の取組みに向けての町内会と福祉専門職・機関との連携の研究
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26380756
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
岡田 直人 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00331728)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 減災 / 町内会 / 福祉避難所 / ケアプラン |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、1年目の研究成果を素材に使った講演を町内会対象に札幌市内2箇所を含め、道内各地で行った。講演に対する反響から、地域住民の関心の高さと6つの仮説に対する手応えが得られた。また、札幌市内の町内会については、3年目に実施予定の質問紙調査の受け入れ先の候補となった。 本研究費を使った出張では、本研究の着想に大きな影響を受けた長岡福祉協会の小山剛氏を偲ぶ研究フォーラムに参加し、小山氏が目指したものを確認した。第2回生活困窮者自立支援全国研究交流大会(福岡)に参加し、本研究テーマを基にした町内会と福祉専門職・機関の連携とは、地域を基盤としたネットワーク形成として密接に関係していること、厚生労働省新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチームによる「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」で提唱する分野を問わない全世代・全対象型の新しい地域包括支援体制の確立と方向性を同じくしていることが確認できた。研究対象であるNPO法人榎本地域活動協議会に対する追跡調査では、今日に至る活動の原点を確認し、10年の展開のなかで乗り越えてきた課題や各種の仕掛けなど、本研究の仮説の確かさに自信を深める一方で、3年目の実施予定の質問紙作成に大いに参考になると思われた。先進国で大地震による被災体験のあるニュージーランド・クライストチャーチの福祉専門職・機関およびコミュニティ住民等に対するヒアリングでは、当地においても震災の風化、復興の遅れ、被災地とその他地域の格差がある一方、被災地の震災後に住民の意識に変化が生じ、各種機関間連携とコミュニティ住民間の助け合いが生じていることを示す情報が得られた。 現時点での研究成果を踏まえた論文を、北海道社会福祉総合センターの機関誌に載せることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、3年目に実施予定の質問紙調査における質問紙の設計や受け入れ先に目処をつけることができた。 当初、定点調査の対象としていたいくつかで、受け入れ環境に変化が生じた。登別市では、研究1年目に地元社会福祉協議会による地域福祉活動計画作成が終了したことから、2年目は町内会関係者との具体的な事業がなかった。東北エリアを対象としたものでは、岩手では調査協力者が所属する会社が別会社に売却され、調査協力者が退社した。宮城では現地調査するほどの変化がないと情報が得られたため実施しなかった。新潟では調査協力者だった小山剛氏が急逝された。札幌市東区では、福祉避難所開設・移送受入訓練が実施されなかった。しかし、それらを補足する調査できたことに加えて、3年目に実施予定の質問紙調査の受け入れ先との関係を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、これまでの研究成果を踏まえた質問紙作成を行い、町内会を対象とした調査を実施すべく、改めて調査協力いただける社会福祉協議会等の受け入れ組織と打合せを行う予定である。 また、NPO法人榎本地域活動協議会には、追跡調査を行う予定で、更に詳しく活動の発展の要について確認したい。さらに、受け入れ機関の調整ができれば、先進国で大地震のあった国として台湾でのヒアリングを行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度の出張を予定していた調査対象先の受入環境に変化が生じたため、出張費の支出が少なくなった。また、質問紙調査の実施を、受け入れ先と実施期間の調整のため、次年度に先延べしたため、使用額が今年度少なくなり、次年度使用額が大きくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、質問紙調査の実施と、台湾を対象とした海外調査のための旅費や謝金等で使用を予定している。
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