2016 Fiscal Year Research-status Report
在宅高齢者虐待の虐待者と被虐待者の関係性に焦点をあてた介入実践モデルに関する研究
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26380768
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
山口 光治 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (90331579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / ソーシャルワーク / 虐待防止 / 支援方法 / 養護者支援 / タイプ分類 / 支援の視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、養護者による高齢者虐待が発生している家庭内の、虐待者と被虐待者との関係性を、①家庭内暴力を理解する際に用いられている「権力」と「支配」の視点からとらえ直し、虐待が発生する構造と要因、その影響をタイプ別に分類・整理することを第1の目的としている。そして、その分析から、②虐待者と被虐待者の関係性に焦点をあて、双方に対し一体的な支援方法(ソーシャルワーク実践)を構築することを第2の目的としている。 28年度は前年度から継続して取り組む「養護者が虐待をしてしまう理由」によるタイプ分類をさらに事例を通して検討し、前年度試行的に作成した7タイプをもとに、最終的に次の5つのタイプに分類・整理した。それは、①権力と支配型、②ストレス衝動型、③メンタル特性型、④現状否認型、⑤承認欲求型である。そして、各タイプの特徴と具体例、支援の視点と支援方法についてまとめた。このタイプ分類は、「タイプに分ける」ことを目的としているのではなく、「養護者の虐待の原因分析と対応の仕方を検討し易くする」ことを目的としている。また、何タイプであるということをラべリング(レッテルを貼る)することが目的ではない。その養護者に合った支援のあり方につなげていくために作成したものである。 その後、このタイプ分類について、実際の虐待事例を当てはめ事例検討会を通して検証を行った。その結果、一つのタイプに整理できるものや複数のタイプに重複する事例もあるものの、収集した事例のすべてが5つのタイプに整理できることが明らかになった。また、各事例の「関わる上で意識したい視点等」は、「虐待をしている養護者のタイプ別支援方法(支援の視点と支援方法)」の内容にも合致しており、その妥当性が示唆された。 最終的に3ヵ年の研究成果についてまとめるために、研究成果報告書の作成に取り組み、研究協力者に対しても原稿の寄稿を依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は研究の最終年度であり、今までの遅れを取り返すべく研究を進めた。しかし、事例をもとに検討会にて議論をし、各タイプごとの支援の視点や支援方法を取りまとめる作業に時間がかかり、かつ、実際の事例に当てはめる検証にも時間が取られ、最終的な報告書の作成が28年度内で終了しなかった。そのため、延長を行い29年度も引き続き研究の総括と報告書の発刊を目指すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度末に十分に取り組めなかった研究の総括について、29年度の早い時期(5月末予定)にとりまとめ、研究報告書を公刊していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果として整理してきた「虐待をしている養護者のタイプ化と介入方法」について、高齢者虐待対応をしている実践現場の方々の意見を伺い、検証を行う機会を得る過程を経るのに時間がかかり、その結果を踏まえた報告書の執筆、編集が年度内で困難となり、補助事業期間の延長承認申請をしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度の早い段階で、研究の総括としての報告書の発行に取り組んでいく予定である。その報告書の印刷・製本費用ならびに郵送費用に使用する予定である。
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