2014 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児を抱える里親の養育困難に関する実証的研究
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26380772
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
中山 哲志 東京成徳大学, その他部局等, 教授 (80327262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 昌志 東京成徳大学, その他部局等, 名誉教授 (00031542)
深谷 和子 東京成徳大学, 公私立大学の部局等, その他 (00015447)
倉本 英彦 帝京平成大学, その他の研究科, 教授 (10609647)
沢崎 達夫 目白大学, 人間学部, 教授 (90143180)
金城 悟 東京家政大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70225118)
石田 祥代 東京成徳大学, その他部局等, 准教授 (30337852)
関谷 大輝 東京成徳大学, その他部局等, 准教授 (80619213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 里親 / 養育困難 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「発達障害児を抱える里親の養育困難に関する実証的研究」に関する3年間にわたる研究計画にもとづき、1年目の平成26年度は、東京、埼玉、千葉、滋賀、福岡、沖縄各地の里親会の協力を得て、里親に対する面接調査を実施した。合計42名に対し実施した面接調査結果から平成27年度に予定する全国調査のアンケート内容を検討する上での基礎資料を得ることができた。①里子の様子、②養育上のエピソード、③養育困難の背景にある要因(障害、養育環境など)、④必要な支援、⑤関係機関との協力などについて里親が経験する日常のエピソードに関係して語られた内容を2人のペアで構成した3グループごとに克明に記録した。 面接調査は限られた時間内で行うため、事前に里親に対し書面で面接時に尋ねる予定の柱となる内容について予め回答を求めた。その回答をもとに半構造的な面接調査によって内容を具体的に確かめ、深めることに努めた。面接場所は児童相談所、大学等の研究室を会場にして行った。 得られた面接記録をメンバー間で共有するためにも、不調に至ったケースも含め、3グループにわかれて実施した面接記録を一定の書式のもとに整理し直し、2月時点で承諾の得られた33ケースについて報告書としてまとめた。その過程で特に里親、里子に対するプライバシーに十分に配慮し、掲載の承諾を里親から得る手続きを慎重に進めた。 報告書は研究メンバー以外にも全国里親会にも郵送し、2年目にあたる今年度の全国調査のアンケート調査実施に対し理解を得られるように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「発達障害児を抱える里親の養育困難に関する実証的研究」のテーマにもとづき、平成26年度は、次年度に予定している全国調査の調査票作成のための基礎資料を得るために、里親に対し面接調査を実施することであった。 ①面接調査に先立ち、面接目的、面接方法、面接時に配慮すべきことをメンバー間で確認し、3つのグループに分かれて実施した面接調査の質を担保するように努めた。②①に関係して、限られた時間での面接調査で確認したい内容について聞き漏らしがないように、面接調査に協力を申し出た里親に事前アンケートを実施した。③面接は2名で実施した。里親が過度に緊張されないようにテープ録音はせず、話しやすい雰囲気、順序で質問を行うように工夫した。④里親会に所属する研究協力者の紹介により、全国6カ所から42名の面接協力者が得られた。⑤面接終了後、面接記録を書きおこし、記録の正確さをより確かなものにするため面接対象者である里親に誤りがないかの確認を依頼した。その際、十分に個人情報の扱いに配慮し、最終的に報告書掲載の承諾を得た。 こうした手続きを経て、33名の面接調査をまとめ、年度末に面接報告書を発行することができた。このように平成26年度は計画通り研究が進んだので、研究は「おおむね順調にすすんでいる」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進について、以下に平成27年度、28年度を記す。 (平成27年度の研究実施計画)平成26年度に得られた結果をもとにして、さらに10名の里親に対して面接調査を実施する。そのうえで、全国の里親を対象として郵送法によるアンケート調査を実施する。調査項目として、①里親属性、②里子の育ち、③養育の経過、④養育困難な状況、⑤発達障害への理解、⑥措置(あるいは支援)の要望を想定している。その他にも前年度の経験を生かした質問を付け加える。全国66か所の里親会の協力を仰ぐ予定である。
(平成28年度の研究実施計画)これまでに得られた成果をもとにして、里子の発達障害に応じた措置体制の構築をめざす。特に発達障害のタイプや程度に応じ、どのような養育環境が望ましいのか。また、どのような事例が専門的な施設(事業所等)による療育に託すことが求められるのかなど、発達障害を持つ子どもへの対応プランの作成を行う。さらに作成したプラン案について児童相談所の里親担当員から評価を得るための聞き取り調査を実施する。得られた結果を報告書に取りまとめ、里親会、児童相談所ならびに研究者が所属する研究学会等で成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
報告書の刊行が年度末を超えることが予想されたため、27年度分で支出するように変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
報告書の刊行経費として使用する。
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