2014 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者への社会的支援に関する瑞日韓比較研究-国家戦略・制度・実践-
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26380777
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
西下 彰俊 東京経済大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80156067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 祐二 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (10373127)
宣 賢奎 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (90382796)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 国家戦略 / スウェーデン / 韓国 / 日本 / 成年後見制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度に実施した3か国の認知症高齢者への社会的支援に関する研究実績は以下の通りである。まずスウェーデンに関しては、社会保健庁(socialstyrelsen)を訪問し、2010年に発表された認知症高齢者に対する国家戦略および介護の付いた特別住宅における職員配置に関する新法について、担当者にインタビュー調査を行った。加えて同庁から「監督機能」を分離独立させた社会サービス医療監督庁(IVO)を訪問し、認知症高齢者ケアに密接に関連するサーラ法(Lex Sarah)のコミューン別データを入手した。 研究課題のもう一つの大きな柱である成年後見制度に関しては、スウェーデン北部のウーメオコミューン、ルーレオコミューンの成年後見監督機関を訪問し、ゴードマン、フォルバルタレという2種類の成年後見人の役割と数的データに関して情報の提供を受けた。 次に韓国に関しては、保健福祉部(世宗市)の政策責任者に対して認知症高齢者ケアに関する国家戦略に関するインタビュー調査を実施する計画であったが、アポイントメントを取ることができなかった。次善の策として、国立認知症管理センターを訪問し、副所長の精神科医に韓国における認知症高齢者に対する社会的支援についてインタビュー調査を実施することができた。 第3に、日本については、厚生労働省老健局に出向いて、認知症高齢者に対する国家戦略である新オレンジプランについて詳しいインタビュー調査を行う予定であったが、同戦略に関しては全てインターネットで情報公開しているとの理由から、アポイントメントを取ることができなかった。 韓国および日本に関して直接のインタビュー調査をできなかった点は、2015年度の追加課題として位置づけ、計画を実施することとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スウェーデンに関しては、当初の研究計画を超えて、様々な政府機関およびコミューンから、認知症高齢者に対する国家戦略および認知症高齢者ケアの質に直接関連する介護の付いた特別住宅における職員配置の立法について多くの情報を、直接のインタビュー調査から得ることができた。スウェーデンに関しては、順調に進展していると言える。 ただし、韓国と日本に関しては、当初予定したインタビュー調査の対象者にメイン会することができなかったので、2015年度(場合によっては2016年度)の課題として残ることになった。しかしながら、韓国に関しては、国立認知症管理センターの副所長にインタビュー調査をすることができたことは、当初の研究計画を超えた研究成果であり、結果的には、研究として進めることができたと言える。 日本に関しては、引き続き交渉を続け、新オレンジプランの進捗状況および、各自治体における「初期集中支援チーム」の整備状況など、インターネットに公開されていないデータなどを得たいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度の研究推進方策は、以下の通りである。2015年度は、2014年度に調査研究できた認知症高齢者に対する国家戦略の戦略意図を踏まえて、認知症高齢者を直接ケアする施設ケアや在宅ケアにおいて、どのような非薬物療法が実施されているか、そしてその療法の効果が得られているかどうかについて、老人ホームやデイセンターを訪問することを通じて、明らかにする。 まず、スウェーデンに関しては、介護の付いた特別住宅やデイセンターを訪問する同時に、そうした認知症高齢者に対する非薬物療法を研究している研究者を訪問しインタビュー調査を実施する。韓国に関しては、認知症高齢者支援センター、老人療養院を訪問し、あわせてこの領域の研究者にインタビュー調査を実施する。日本に関しても、非薬物療法を実践している老人ホームやデイセンターを訪問し、その効果を確認する。加えて非薬物療法の効果を研究している研究者へのインタビュー調査を実施する。
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Causes of Carryover |
研究計画の多くの部分に、スウェーデン、韓国、日本におけるインタビュー調査が含まれている。すでに述べたように、韓国と日本に関しては、当初計画していたインタビュー調査のアポイントメントが取れない部分が発生した。そのため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の韓国出張時に、期間を伸ばして、世宗市の保健福祉部を訪問し、認知症高齢者に対する国家戦略についてインタビュー調査を行えるようにする。日本に関しても、厚生労働省老健局へのインタビュー調査を行えるようにする。
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