2015 Fiscal Year Research-status Report
地域福祉推進を行う社会的企業の問題解決手法のモデリングとイノベーションの研究
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26380782
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
熊田 博喜 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30366877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)
川村 岳人 健康科学大学, 健康科学部, 准教授 (30460405)
本多 勇 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (80296201)
後藤 広史 日本大学, 文理学部, 准教授 (60553782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 社会的企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、前年度の成果を受けて、社会的企業を暫定的に「市場の原理を活用して、そこから利用者の社会的包摂を図ると共に、事業収入を確保して事業運営を行う組織」と定義している。そのように考えた場合、1)市場原理を活用する、2)利用者の包摂を図る、3)事業収入を確保するという3つが社会的企業の最大公約数的な要件となるが、この3つを観点から問題解決手法のモデリングとイノベーションを考える場合、その典型的な団体を抽出する必要がある。その場合、①利用者をメンバーとして位置付け、②労働の提供を行い、更には③事業資金に関して、事業の収益を重視する団体に焦点化して行うこととした。 具体的には、まず就労支援を行う社会的企業を考えて手掛かりとして隣国の台湾の社会的企業3団体(障害者就労、母子の生活困窮者、一般の生活困窮者)、そして日本では、特に障害者就労支援を行う団体、具体的にはパンの販売等を行うNPO団体、リゾート施設経営や農業を行う社会福祉法人、レストラン経営を行う社会福祉法人、清掃事業などを行うNPO団体にヒアリングを行った。 これらの調査結果から、地域社会とステークホルダー、起業、事業展開、商品・サービスの提供を要素として抽出することができ、更にはこれらが密接につながる循環関係になっていることが明らかとなった。 社会的企業の事業は、地域社会の条件や問題状況を踏まえ、その地域に存在するステークホルダーとの関係の中で、かつ利用者のストレングスに着目して起業が行われ、その地域の産業構造や業界全体の産業構造に規定されつつ、事業が構成され、市場で通用する商品・サービスが生み出されることによって、生み出された商品サービスが地域社会の問題状況に働きかけるといった、地域社会-事業の循環関係が見出すことができ、それが組織構成、財源/メンバー/利用者/技術者、財源/収入源の経営資源に規定されていることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度、明らかにした①地域福祉を推進する社会的企業には、利用者を受益者として位置付ける団体とメンバー(共同事業者)として位置付ける団体があること、②受益者として位置付ける団体の多くはサービス提供を主軸としており、メンバーとして位置付ける団体の多くは労働の提供を主軸としていること、③事業資金に関して、事業の収益を重視する団体と行政からの事業受託・補助金を重視する団体に分れることを明らかにしたが、どのような団体に焦点化すれば、本研究の課題である地域福祉推進を行う社会的企業の問題解決の手法のモデリングとイノベーションを検討できるのかに時間を費やしたことが研究の進捗状況が遅れた理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずは一昨年度・昨年度に実施したヒアリング調査結果を早急に「問題解決手法のモデリング」と事業を生み出す「イノベーション」の観点から整理を行いつつ、それそれテーマの整理を試みつつ、必要に応じてヒアリング調査も併せて実施することにしたい。 また最終的には地域福祉推進を行う社会的企業の意義や役割について類型化を試みつつ、今後の可能性についても提案を行うことを考えている。
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Research Products
(1 results)