2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Necessary Social Support for Reintegration of Ex-Offenders into Society and Partnership with Community Wellfare Organizations
Project/Area Number |
26380784
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (50440194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川邉 譲 駿河台大学, 心理学部, 教授 (90544940)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 犯罪者 / 刑事司法 / 社会への再統合 / 仮釈放 / 更生緊急保護 / 底つき体験 / 就労 / 信頼関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
犯罪者の更生要因と社会への再統合支援の方策を探るために、刑事司法から釈放後2年以上再犯がなく更生したと見なせる元犯罪者に対し、半構造化面接を実施した。被調査者約100名の大半は、釈放時に家族との関係性や住居がなかった。 生活実態や彼らの語りを質的に分析し、更に調査結果を量的に解析中である。成果は2017年9月開催の「世界保護観察会議」にて英語で報告するが、パイロットスタディでは欧米の再犯リスク管理・再犯防止計画モデルとは異なる知見を得て、日本司法福祉学会2016年度大会で報告した。 研究代表者の小長井は更生保護施設に帰住した刑務所仮釈放者10名の語りを分析した。大半は、受刑中に1.累犯の結末に底つき体験をし、2.就労経験を元に就労による生活再建の意欲を高めていた。資質的には、3.集団生活へ適応力があり、4.自己や生活状況への妥当な現実認識ができ、5.思考に柔軟性があった。更生保護施設で支援的な人間関係と就労機会を得て、施設退会後は仕事中心の自律的な清貧生活に満足していた。更生要因は現実受容、意識と生活の純化、関係性にあることを見出し、これらの促進が政策上の課題であるとした。 一方、研究分担者の川邉は「更生緊急保護」により更生保護施設に入所した7名の語りを分析し、1.犯行時又は逮捕後に更生意欲が生じ、そこに2.適時・適切な支援の手が加わり、3.自らも指導を求め、4.支援者との間に信頼・指導関係が構築され、徐々に5.堅実な生活習慣が身につき、6.身の丈に合った日々の生活に満足を見出すという生活観の変化が生じていくという更生経過を見出した。この考察から、逮捕・勾留が人生観の変化の契機となり、その際に底つき体験をし、適時・適宜の生活再建に資する働き掛けを得ることが肝要であり、政策的には起訴前調査が調整・調査に止まらず、当人の更生の契機となるような機能を有すべきであるとの提言をした。
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