2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380791
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 康友 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (80369701)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 孤立死 / 孤独死 / 社会的孤立 / 孤立予防 / 協同組合 / 敬老堂 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度同様に、孤立死や孤独死に関連する新聞記事(朝日新聞、読売新聞、産経新聞、毎日新聞)を収集した。その結果、孤立死に関する記事は、2014年度は77件であったが、2015年度は56件に減少していた。一方、孤独死に関する記事は、2014年度は460件であったが、2015年度は365件に減少していた。つまり、孤独死や孤立死に関する記事が減少傾向にある。そして、孤立死よりも孤独死という名称を使用している記事が圧倒的に多かった。また、記事の内容を見ると、孤独死というよりも孤立死といえる内容のものも見受けられた。孤独死は定義が曖昧であるが、世間一般に浸透していることばなので、新聞記事に使用されることが多いと推測できる。 南医療生活協同組合が2015年4月に開設した「よってって横丁」を見学した。その際も生協職員と一緒になって、南医療生活協同組合の組合員の方も案内係などを担っていた。「よってって横丁」は生協職員が企画、提案したというよりも組合員の意見などを取り入れて作られた建物であった。そして、「よってって横丁」は、乳幼児から高齢者までの年齢を問わず、組合員の誰もが集うことができる場として作られていた。そして、南医療生活協同組合の組合員は、DVD『だんらん にっぽん』やテレビ東京「ガイアの夜明け」でも紹介されているように、組合員が熱心に地域福祉活動に取り組んでいた。さらに今日、国により「地域包括ケア」が政策的に推進されているが、南医療生活協同組合が取り組む「協同のまちづくり」はそのモデルケースであると言える。 ソウルサイバー大学の李栖瑛先生の協力を得て、韓国調査も実施することができた。今回、ソウル市の集合住宅にある敬老堂の運営を行っている総合福祉施設の方へのインタビューを行うことができた。そして、敬老堂の先行研究と今回の調査結果を踏まえて、敬老堂の現状と課題をまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
孤立死事例を収集することが困難である中で、新聞記事からの情報収集は重要である。そこで、2015(平成26)年度から継続して、孤立死や孤独死に関連する記事について情報収集を行ってきた。記事件数は減少傾向にあるが、その分深刻な孤立死事例が掲載されている。孤立死事例の収集方法としては有効であり、2016(平成28)年度も継続する予定である。 また、今年度は、南医療生活協同組合へ訪問して、組合員の取り組み状況などを自分の目で確認することができたことは大きな成果であった。そして、訪問調査だけではなく、先行研究なども見ることができた1年であった。 今年度は、予定通り韓国調査も行い、敬老堂について聞き取り調査を行うことができた。帰国後に気になる点については、ソウルサイバー大学の李栖瑛先生の協力を得て、追加で情報収集することができた。 2014(平成26)年度に引き続き、2015(平成27)年度も当初計画していた通り、研究を遂行することができた。
上記の結果から、「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016(平成28)年度も継続して、新聞記事からの孤立死事例の情報収集を行う予定である。また、2016(平成28)年度の前半においては、孤立死予防に関する新進的な活動があれば、調査に行く予定である。 2016(平成28)年度は、今回の研究課題の最終年度に当たるため、2015(平成27)年度の調査結果をまとめることと、これまでの調査期間全体の研究成果のまとめを行う予定である。 高齢者の孤立死に関する研究は、今回の科学研究費助成事業で終結できる研究テーマではない。そのため、2017(平成29)年度以降も科学研究費助成事業の助成金を獲得して継続研究ができるようにしたい。 そのためにも2016(平成28)年度は、これまでの研究成果を学会報告や学術雑誌への投稿を行う。
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