2014 Fiscal Year Research-status Report
心中による虐待死の未然防止に向けたチェックシートの開発
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26380797
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
石川 瞭子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (50330634)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心中による虐待死 / 家族機能 / 地域精神保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
前期は研究体制の最終チェック並びデータ収集に向けた下準備を行い、後期はデータ収集並びデータ整理を行った。以下テーマ別に研究実績を報告する。 【テーマ1】西岡弥生(研究協力者:聖隷クリストファー大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程在籍) 「心中による虐待死」の実態と背景要因を検討するために、自治体報告書で検証された心中事例についての調査研究を行った。具体的には、フィールドワークとインタビュー調査を実施した。対象事例は、北海道、東北地方、関東地方、中部地方、九州地方で発生した9事例である。関係機関(行政機関、司法機関、教育・研究機関、その他)に順次出向き、半構造化インタビューを行った。実際の事例をもとに関係機関でインタビューを実施し質的に分析することは、背景要因を見出し未然防止を検討する上で意義がある。本調査に関しては、聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認(認証番号13083)を得ている。 【テーマ2】西岡弥生(研究協力者:聖隷クリストファー大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程在籍) 母親等の精神的危機と心中に関する支援者側の意識を検討するためのアンケート調査票を作成し、発送を完了した。調査対象は、保健所(490か所)、精神保健福祉センター(69か所)、A市精神科医療機関(277か所)、B市精神科医療機関(37件)、計873か所とした。アンケート調査によって量的なデータを収集し、支援者側がもつ意識の傾向をつかむことは、未然防止を検討する上で意義がある。本調査に関しては、聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認(認証番号14035)を得ている。 【テーマ3】石川瞭子(研究代表者) チェックシート作成の準備に向けて、【テーマ1】【テーマ2】の進行を調整した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【テーマ1】【テーマ2】【テーマ3】において、当初の予定通りおおむね順調に進展している。 【テーマ1】自治体報告書で検証された心中による虐待死事例9事例について、フィールドワークとインタビュー調査(北海道、東北地方、関東地方、中部地方、九州地方)は、すべて完了した。現在は収集したデータを整理し、分析に向けた準備を整えている。 【テーマ2】母親の精神的危機と心中に関する支援者側の意識を調査するアンケート調査票を作成し、対象機関873か所(保健所、精神保健福祉センター、A市精神科医療機関、B市精神科医療機関)へ発送を完了した。調査期間は2015.4.1.~2015.5.31とした。 【テーマ3】未然防止に向けたチェックシートの作成に向けて、【テーマ1】【テーマ2】の進行等を調整した。 以上をもって、本研究は当初の予定通りおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
【テーマ1】フィールドワーク、インタビュー調査が終了しデータ収集は完了したため、分析を行う。まず、9事例の家族が心中発生に至った経緯を検討する。具体的には、二重ABC-Xモデルを援用し家族危機形成のプロセスについて分析を試みる。次に、関係機関のインタビュー協力者の語りから、未然防止に必要な視点を見出す。具体的には、語りのデータを質的記述的に分析し、事例の検証をふまえて関係者が捉えた未然防止の視点を整理する。 【テーマ2】精神保健福祉及び精神科医療における支援者を対象にしたアンケート調査を回収・集計し、支援者の意識を以下の点について検討を試みる。①子育てをする母親の心理的・精神的問題について、②母親の心理的・精神的問題と子育ての関連について、③心理的・精神的問題をもつ母親へ対応する際の危機対応について、④心理的・精神的問題をもつ母親と親子心中の関連について、⑤親子心中の未然防止についてである。 【テーマ3】 【テーマ1】と【テーマ2】の結果を統合し、心中の未然防止に向けた暫定的チェックシートを作成する。
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Causes of Carryover |
【テーマ2】アンケート調査の調査期間が、2015.4.1~2015.5.31となった。アンケート調査票は、2015.3末に発送済みだが、5月中に再度お礼状(催促状)を発送する予定である。したがって、印刷・発送業務を依頼した業者への支払いが、すべてを完了した2015.6になる予定である。以上が、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
【テーマ2】アンケート調査について、2015.6末に調査が完了する予定である。①印刷・発送業務、②開封・データ入力・集計業務について、依頼した業者への支払いを2015.6を予定している。
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