2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380799
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
柏原 正尚 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (40454409)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 介護福祉士 / 離職行動 / 離職理由 / 職場内異動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、介護福祉士の就業・離職行動における関連要員の探究である。 研究2年目の平成27年度は、1)介護福祉士養成施設A専門学校卒業生への就業・離職状況の平成26年度調査結果の分析、2)平成26年度調査結果分析の研究発表及び論文化、3)平成27年度調査の実施、に取り組んだ。 平成26年度調査結果分析では、介護福祉士の離職理由で結婚、出産が上位を占め、25歳以降での女性の離職経験者が顕著に高くなっていることがわかった。介護現場を実習等で一定理解して就労する介護福祉士では、結婚や出産などの個人的要因が、既存研究で示唆されている人間関係や賃金などの組織的要因よりも離職に強く影響を及ぼしていることを示唆できると考えられる。また、養成校卒業した直後の初職の就業継続者と、離職経験者とを分ける要因を探ったところ、性別、卒業経過年数のほかに職場内異動という組織的要因が影響を及ぼすことを示唆できた。これらのことを日本社会福祉学会第63回秋季大会にて研究報告するとともに、日本介護福祉学会の学会誌に2016年3月末現在で論文投稿中である。そして、平成27年度調査は、前年度調査の回収率が21.4%にとどまったことから、前年度調査回答者への継続調査と合わせて未回答者への再調査を実施し、本研究の成果をより高めるための取り組みを行った。 本研究の意義としては、介護福祉士の離職理由に結婚・出産など一般女性労働者と類似するものが多いことを示唆できた点、就業継続者と離職経験者を分ける要因に職場内異動を示唆できた点、2年間の継続調査を実施し、離職意向と離職行動との関連性を探ることができる点、などを挙げることができる。 平成27年度は、3年間の研究期間の中で前年度の調査結果を踏まえた中間まとめができたこと、当初からの計画であった2回の調査実施を終えることができたことなどから重要な研究年度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の達成度を1)平成26年度調査結果の分析、2)平成26年度調査結果分析の研究発表及び論文化、3)平成27年度調査の実施、に分けて示す。 1)平成26年度調査結果の分析では、調査回収率が21.4%にとどまったことなどもあり、単変量での解析では明らかにすることが難しい離職要因を探るために分析方法を再度検討しなおして取り組んだ。分析養成校卒業した直後の初職についての離職経験の有無をアウトカム指標に用いた2項ロジスティック回帰分析を用いるなど多変量解析に取り組み、性別、卒業経過年数、職場内異動の3項目によって介護福祉士の離職を予測する可能性を示唆することができた。研究計画時よりも分析に時間がかかったものの、成果としては計画段階以上であると考える。 2)研究発表及び論文化については、平成27年9月の研究発表段階ではクロス集計を中心とした分析にとどまったものの、論文化の過程において要因間の関連性を踏まえた分析をまとめることができた。 3)平成27年度調査実施については、研究計画段階では前年度同様に10月に実施予定であったが、郵送調査の宛先が本人住所ではなく養成校在学時に居住していた実家住所である卒業生も多く、帰省などで調査票を目にしたり渡されたりする機会が増える年末年始をまたいだ調査期間で設定して実施した。継続調査では前年度調査回答者の54.6%の継続回答を得ることができた。加えて、前年度未回答者への再調査では13.2%の回答を得ることができた。 平成27年度は、研究計画時よりも調査時期が2か月程度遅く設定して取り組んだこともあり、平成26年度調査結果報告の冊子配布が次年度になるなどの一部遅れは生じたものの、研究成果の論文化も行うなど概ね順調に進めていくことができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、2年間で取り組んできた継続調査結果の分析を進めるとともに、平成27年3月に実施した介護福祉士へのヒアリング調査のさらなる分析に取り組んでいく。 平成26年度調査結果については、さらに分析を進めて研究成果を論文化するとともに、平成27年度調査と合わせた継続調査結果については離職意向と離職行動との関連性を探るなど研究計画に沿って取り組んでいく。 また、これらの調査結果の分析については、福祉専門職をはじめ介護現場の状況に詳しい者からの専門的な知識の提供を頂く機会を設け、研究成果の妥当性について検証するとともに、現場の状況を踏まえた論文化に取り組み、学会誌への論文投稿を行っていく。 そのためにも、研究初年度より協力してもらっている研究協力者2名と密に連携を図っていきたいと考えている。研究協力者2名には、本研究の成果を高めるための分析及びさらなる関連情報の収集のために学会への同行参加などにも協力してもらうよう努める。
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Causes of Carryover |
平成26年度の第1次調査結果のリーフレットは、調査回答者へ配布予定で作成するものであったが、平成27年度の第2次調査の回答に影響を及ぼす可能性があることから、調査実施後の平成28年3月末以降に調査報告書として印刷、配布を行うこととし、平成28年度に計上することとした。 第2次調査の郵送費等費用については、当初予算よりも回答者数が少なかったことなどから、次年度に第2次調査報告書を作成し、調査結果を踏まえた回答者からの意見・感想を自由回答にて返信してもらうため、次年度に予算を使用することとした。 第1次調査結果などから介護現場の離職状況の複雑・多様化していることがわかり、当初想定していたヒアリング調査の分析だけでなく、調査結果に対する介護福祉士の意見をより詳細に分析していくほうが研究成果を出せると考え、次年度にSPSSのデータマイニングソフトの購入費用を確保することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第1次調査報告書印刷郵送関連費、第2次調査報告書印刷郵送関連費、調査報告書に対する感想等の回答返信用郵送関連費、SPSS・データマイニングソフト購入費、学会等参加費・旅費、研究報告書印刷費
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Research Products
(1 results)