2016 Fiscal Year Research-status Report
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26380799
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
柏原 正尚 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (40454409)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 介護福祉士 / 離職意向 / 離職行動 / 継続調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護福祉士の就業・離職行動における関連要因の探究を目的として取り組んできたものである。 研究3年目の平成28年度は、1)介護福祉士養成施設A専門学校卒業生への就業・離職状況の平成26年度と平成27年度の継続調査結果の分析、2)卒業生ヒアリング調査データの分析、3)実施した調査報告書の作成、に取り組んだ。 2年間の継続調査結果の分析では、介護分野就業者(106名)のうち、前年度調査において1年後に介護分野から離職意向(非就業含む)を示していた者は20名であったが、実際に1年後に離職行動を起こしていたのは5名で、その割合は25%であった。一方で、就業継続意向の86名のなかでも2名は離職行動を起こしていた。これらの結果を踏まえると、就業継続意向者よりも離職意向者のほうが離職する割合は高かったものの、むしろ離職しない者の割合のほうが高く、離職意向と離職行動との連動性については必ずしも強いとは言い難い結果を得た。 卒業生ヒアリング調査データの分析では、既存の量的研究において調査項目として設定されてきた様々な離職要因にはそれぞれ多くの下位要因があることがわかった。これらのことを整理していくことで、ヒアリングデータから要因につながるコンテクストを丁寧に抽出していくことの重要性を主張できると考えている。 平成27年度調査結果を中心とした調査報告書の作成については、平成29年3月末までに概ね作成できたものの、製本については4月以降になっている。 また、上記のことを含め本研究の成果を学会等で発表、さらに論文化していくために、平成29年度も継続して研究できるよう期間延長を申請したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の達成度を1)継続調査結果の分析、2)卒業生ヒアリング調査データの分析、3)実施した調査報告書の作成、に分けて示す。 1)継続調査結果の分析では、簡素化した指標ではあるがバーンアウトやパーソナリティに関する調査項目を2年間継続してデータ収集したが、アウトカム指標としての離職行動を起こした者が回答者全体の1割にも満たないことなどもあり、継続調査データをより詳しく分析する必要性があると感じている。また、平成27年度追跡調査においては就業に関する介護福祉士の状況を把握するために、介護業務の負担度や重要度、研修などの調査項目を設定した。これらの項目と就業継続・離職との関連性を分析していくことによってさらなる研究成果を得ていきたいと考えている。 2)卒業生ヒアリング調査は、平成27年2~3月に15名に実施したものであるが、平成28年度は専門学校卒業後10年以上を経過した8名を中心に分析に取り組んだ。卒業後10年未満の7名の分析は、取り組んできているものの、平成28年度中にはまとめることができていないため、遅れが生じている状況である。 3)調査報告書については、平成28年度中に作成して調査回答者へ送付し、2回の調査結果を踏まえた意見・感想等をきく程度の簡単なアンケート調査を実施予定であった。この部分については、まとめ上げるのに想定より時間がかかってしまい、平成29年5月に送付予定で進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、平成26年度~28年度であった研究期間を1年延長させて頂いたことによって、平成29年度前期中にこれまでの成果を整理し、後期には社会福祉及び介護分野の学会での研究発表を行っていけるよう取り組んでいく。 また、2名の研究協力者ともさらなる連携を図り、本研究の成果をしっかりまとめ上げていく。特に、関連情報の収集や共同での研究発表のために学会への動向参加などにも協力してもらうよう努める。 平成29年度は、研究計画どおりに、複数年に渡る継続研究の成果を出していくことを中心に据えてまとめていく。 加えて、アンケート調査を中心とする量的データと、ヒアリング調査を中心とする質的データの両方の分析に取り組んでいくことによって、介護福祉士の就業・離職に関する要因をトライアンギュレーションによって探究していくことの重要性を主張できるような研究の最終年度としていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、平成26年度及び平成27年度に実施した調査及びヒアリング調査の分析を中心に取り組んできたため、学会等での研究発表を行うには至らなかったため、次年度に使用することとした。 平成28年度中に予定していた調査報告書の回答者への送付が平成29年度に遅れたため、印刷製本費及び郵送費等関連する費用を次年度に使用することとした。 研究報告書印刷費については、研究期間を1年間延長させて頂いたことにより、費用を次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第2次調査報告書印刷・郵送関連費、調査報告書に対する感想等の回答返信用郵送関連費、学会等参加費・旅費、研究報告書印刷費
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