2015 Fiscal Year Research-status Report
在宅失語症者の言語的活動の拡大に有効な環境要因の検討
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26380814
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
森岡 悦子 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (70441334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 謙 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (90441336)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 失語症 / コミュニケーション能力 / 言語的活動 / 社会支援 / 高次脳機能障害 / 福祉 / 神経心理学的検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
失語症者は、退院後の生活において対人関係などコミュニケーションの関わる言語的活動が制限される傾向にあることが指摘されている。そこで、失語症者の背景要因と言語的活動との関連を検討することにより、失語症者が生活の中で言語的活動を維持拡大するために有効な要因を分析し、必要な社会的支援の手がかりを見いだすことを目的とした。対象は、研究協力施設の回復期リハビリテーション病棟で3ヵ月以上失語症リハビリテーションを受けた後、在宅復帰し6ヵ月以上経過した失語症者とした。退院後評価として、言語機能、コミュニケーション能力、知的機能の評価を実施し、年齢、家族構成、社会的資源の利用状況を聴取した。また、キーパーソンとなる家族に、コミュニケーション自己効力感尺度、コミュニケーション行動の家族質問紙を実施した。結果①共分散構造分析を用いて検証し、適合水準を満たすモデルにおいて、言語機能と自己効力感が、言語的活動に影響し、言語的活動は、コミュニケーション能力に影響するという関連が示された。言語機能は言語的活動を通してコミュニケーション能力として高まるという関連は従来の研究に一致する。一方、言語的活動に、自己効力感の影響が認められたことは、家族の自己効力感が「配慮ある言語的関わり」として失語症者の言語的活動を促進する可能性を示唆したと言える。②家族の自己効力感とコミュニケーション能力の分析より、自己効力感は、コミュニケーション能力の中等度レベルとの関連が強いことが示された。平成27年度は、データの集積により、言語的活動への影響を構造的にとらえることができた。来年度は、経過を継続的に調査し、言語的活動と諸因子の関係性についての経時的変化をとらえる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より、協力施設において、失語症者の割合が減り、その結果在宅復帰の失語症者数が減少したため、対象居住地域の範囲拡大により対象者数を維持し調査を進めている。また、前年度に実施した対象者の経時的調査は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成26年度と平成27年度に調査した対象者に、経時的調査を実施する。要因の変化が、コミュニケーション能力、言語的活動性にどう影響するのかを分析することにより、言語的活動性の維持向上に重要な要因を時間軸に沿って考察する。
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Causes of Carryover |
昨年度のデータ収集の遅延により統計分析が遅れたため、処理に必要な統計ソフト購入や成果発表の諸経費を使用する段階に至らず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、現在までに収集したデータの経時的調査を集積し、分析を進める予定であり、調査費用、調査協力者および解析作業協力者への謝金、データ解析用統計ソフト費用、文献、成果発表経費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)