2016 Fiscal Year Research-status Report
障害者へのスティグマティゼーション是正プログラムの開発に関する研究
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26380817
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
米倉 裕希子 関西福祉大学, 発達教育学部, 准教授 (80412112)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害者福祉 / スティグマティゼーション / 介入研究 / 福祉従事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】福祉従事者を対象に行った横断研究の知見を基に、福祉従事者へのスティグマティゼーション是正プログラムを実施し、福祉従事者を対象とした効果測定を行った。【研究方法】福祉従事者を対象に2日間の介入を行い、介入群と対照群の比較検討を行った。介入内容は、「知識・情報」「対処方法」「サポート」の3つを柱として構成し、共感性を図るJefferson Scale of Physician Empathy の日本語版(JSE)及び知的障害をもつ人に対する肯定的態度尺度、任意で作成した差別意識の3項目を加えた質問紙を用い評価する。分析はStata13を用い、パネル分析及びAVOVAを行った。【結果】対象者は介入群28名、対照群30名の合計58名で、男性14名、女性44名、平均年齢40.8±11.4歳、平均経験年数は6年9か月、主に日中活動に従事している人が66%だった。知的障害者や発達障害の研修未受講者が21名いた。JSEの平均得点は、介入群で介入前109.8±14.5、介入後112.8±14.0と上昇したが、対照群は1回目が111.1±13.6、2回目が110.7±10.9と減少した。また、肯定的態度の平均得点は、介入群において介入前が56.1±4.7、介入後は58.6±6.6に対し、対照群でも54.6±7.6、2回目は56.6±9.2と上昇していた。しかし介入による影響はなかった。【考察】介入による統計的な効果はなかったが、共感的態度は介入群で上昇したことから、介入の継続や内容を検討することで効果が得られる可能性が示唆された。横断研究では共感的態度に研修経験は影響していなかったが、本研究では共感的態度を引き出す内容だったので影響を及ぼしたと考えられる。今後、引き続き介入内容及びその効果の検討を行うとともに、介入の効果としてバーンアウトや離職等をアウトカムとして検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、(1)心理教育を応用したスティグマティゼーション是正プログラムの開発、(2)介入プログラム普及のためのツールの検討、(3)成果発表について計画し、概ね計画通り実施できたが、結果のフィードバックや成果発表にまで至っていないため、「やや遅れている」と評価した。(1)については、福祉従事者を対象に介入プログラムを実施しその効果測定を行った。介入施設による対照試験を行う予定だったが、連携研究者と調整の結果、対象者を一般募集し、介入群及び対照群に分け実施することになった。前期に募集し、後期でプログラムを実施する予定だったが、後期で募集し年度末に実施することになった。そのため、介入結果を対象者へフィードバックできていない。(2)については,介入プログラムの普及方法を再検討し、誰でもできることを目的とした普及用の冊子及びスライドデータを連携研究者と共に作成した。現在、WEB等でダウンロードし利用できる方策を検討中である。(1)(2)を遂行するため、アルバイト雇用や外部委託を活用し、連携研究者と調整したため効率化を図ることができた.(3)については、平成26年度及び27年度に行った研究についての論文投稿や学会発表を行ったが、平成28年度に行った介入研究については年度末に実施したため、成果発表にまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年年度に実施した介入研究の追試を行うとともに、対象者を増やして分析を行う。また、研究成果を論文投稿や学会発表などでフィードバックしていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、連携研究者との調整の結果、介入研究の対象者を一般募集するとこになり介入研究の実施に時間がかかった。対象者の一般募集では、(1)募集期間が必要だったこと、(2)申込者を介入群及び対照群にわける調整が必要だったこと、(3)対照群にも時期をずらして介入を行った、等の理由により予定より時間がかかった。そのため、成果発表をまとめる時間がとれなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画については、(1)追試研究及び(2)成果発表を予定している。 (1)の追試研究は、実践を行うための出張旅費、会場費、プログラム実施及びデータ入力の補助アルバイトに使用する。(2)は、研究協力者への報告書送付のための印刷及び郵送費、学会発表のための学会参加費、出張旅費の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)