2016 Fiscal Year Research-status Report
乳児院・児童養護施設における乳幼児に対する早期からの連続性を持った心理的ケア
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26380820
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
大迫 秀樹 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (50412474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 早苗 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (50389243)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳児院 / 児童養護施設 / 乳幼児 / 心理職 / 心理的ケア / 連続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳児院や児童養護施設における乳幼児に対する早期からの連続的な視点を持った心理的ケアのあり方を構築していくことを目的としている。本年度は、最初に実施した「乳幼児に対する養育における心理面での繋ぎ(連続性を持った心理的ケア)」に関するアンケート調査から得られたデータに基づき、抽出された、有効な援助を行っている、あるいは特徴的なシステムを構築していると思われる施設に対して、前年度に引き続き、実際に現地に研究者が赴いて、施設長(主任)及び心理療法担当職員等に対してインタビュー調査を行い、実際の状況や課題等について、具体的かつ詳細に把握をすることに努めた。また、その結果について、内容の集計及び分析を進めていった。当初想定した以上に、各施設ごとに取り組みにおける特徴があることが明らかになったため、乳児院、児童養護施設を合わせて、おおむね20か所程度と、大幅に訪問箇所数を増やして調査を行った。実地調査からは、乳児院と児童養護施設の間での慣らし保育、里帰り行事、ライフストーリーワークの取り組みなど、連続性を重視した具体的、かつ有効な取り組みが実施されていることが明らかになった。また、心理職や家庭支援専門相談員等の専門職の役割も大きく、有効に機能してしている施設が多くあることが認められた。これらのことから、現在の児童福祉政策の方向性に沿った取り組みが、効果的に作用している点などが示された。また、研究の成果については、最初に実施したアンケート調査の結果に関して、学会発表の準備を進め、国内の学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、実地インタビュー調査の開始時期が遅れたことと、訪問個所数が予定より少なくなっていたことなどから、計画が遅れ気味であった。さらに、研究が進むにつれて、当初想定した以上に、各施設ごとに取り組みにおける特徴があることが明らかになったため、本年度には、大幅に訪問箇所数を増やして調査を行ったためである。ただし、実地調査については、ほぼ終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
有効な援助を行っている、あるいは特徴的なシステムを構築していると思われる施設に対する実地インタビュー調査については、ほぼ終了することができている。そこで、そこから得られた有効な援助技法等について検討し、それを実際の施設での実践につなげて、その効果等についての一定の評価を行っていくこととする。この点については、ある乳児院・養護施設の協力のもと、乳幼児構想という形で、体制整備が進んだことから、実践につなげる準備が整っている。 また、最終年度であるため、これまでの研究の総括も含めて学会発表、論文の作成を進め、研究の結果について、社会に還元していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
これまでに、実地インタビュー調査の開始時期が遅れたことに加え、当初想定した以上に、各施設ごとに取り組みにおける特徴があることが明らかになったため、大幅に訪問箇所数を増やして調査を行ったことなどから、計画が全体として遅れ気味となった。また、最終段階で予定していた、施設現場における実践については、施設側の体制整備の関係もあり、本年度までに、実施できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究計画のうち、実地インタビュー調査までは完了したことから、次年度は、最終段階にあたる、施設現場での実践検討を行っていく(施設側の体制整備も完了している)。このため施設訪問等にかかる旅費の支出を必要とする。また、最終年度であることから、これまでの研究の総括のための学会発表、論文作成等を行っていくため、学会に赴く際の旅費や印刷物等を発行するための物品費の支出を必要とする。
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