2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児を育てた親の経験知の収集とその活用に向けた検討
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26380823
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Research Institution | Sapporp International Junior College |
Principal Investigator |
岡部 祐子 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 准教授 (80597899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 ゆり 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 准教授 (30553698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達障害児の子育て / 公共の場への参加 / 親の経験知 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の課題は、追調査・補足調査の実施と、調査の結果の整理・分析であった。経験知は、その人の直接の経験に立脚し、暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、その人の信念と社会的影響により形作られる強力な専門知識(Leonardら2005)とされる。スーパーバイザーからの助言もあり、どこまでも事例にこだわって研究を進めた。 追調査では、対象者らの直接の経験を丹念に読み解くことを目的とした。まず、第1回目の調査によって得られた対象者らのライフ・ヒストリーから社会参加の場面、具体的には公共の場への参加に関わる保護者の取り組みを抽出し、支援の内容や用いた道具について詳細に調査した。加えて、公共の場への参加による子どもの変化、保護者自身や社会の側の変化等についても尋ねた。 補足調査では、26年度対象とした保護者支援のGood Practiceだけではなく、経験知の活用に視野においたGood Practiceを調査した。また、本研究の中核となる対象者は、障害児を育てたあげた親であるが、28年度は、次世代の親である小学生の親たちの状況をフォーカスグループ・インタビューによって明らかにすることを試みた。 調査結果の整理・分析においては、調査結果データをテクスト化したものを公共の場への参加場面ごとに整理し、次にカテゴライズされたテクストをSCAT(Steps for Coding and Theorization)の手法によって分析し、「経験知」の構成概念の抽出を試みた。さらに、これらの構成概念を紡ぎストーリーラインを作成すると「経験知」の一端が浮かび上がった。これまでに代表的なエピソードの分析は終えた。今後小さなエピソードを分析することで、それらのつながりも見えてくるのではないかとの仮説を立てている。分析を進め検証するとともに、学会発表を経て分析の精度を上げていくことが29年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
28年度に、GPの追調査と次世代の親たちのフォーカスグループ・インタビューを実施した。年度内に予定よりも多くの調査を実施したため、分析が29年度に持ち越され発表するまでに至らなかった。また、28年度に行うはずであった対象者1名の追調査が年度内にできず、29年度6月に行うこととなった。全体の進捗に大きな影響はないと考えられるが、こうした状況から「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である29年度は、上期は、早い段階での学会発表を予定している。学会発表を経て分析の精度を高めていくことを目標としている。上期内に、28年度から持ち越している調査結果の分析を終わらせる予定である。下期は、これまでに行った文献研究、GP、本調査、補足調査、それぞれの分析結果をまとめるとともに、発達障害児の親の「経験知」について考察し、「活用の可能性」について検討を行う。成果物として、研究ノート、発表抄録、論文等を合冊し、総合考察を加えて報告書を作成する予定である。
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