2014 Fiscal Year Research-status Report
地域コホートデータを用いた妊娠期から思春期までの保健福祉ケアシステムの確立
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26380824
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
渡辺 多恵子 日本保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30598636)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 追跡研究 / 子どもの発達 / 社会性 / 保護者支援 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの成長発達に影響する妊娠期の要因に関する文献レビューを行った。妊娠届出時に集積すべき情報として、「妊婦の社会とのかかわり」「妊婦の身体的健康」「妊婦の社会的健康」「母乳育児に関する意識」「サポートの状況」「喫煙・飲酒」が示唆さえた。 学童期、及び、思春期における身体的、精神的、社会的健康測定指標に関する国内外の文献の系統的レビュー、および、大都市に隣接する人口5000人規模の自治体で取得した0歳~18歳までの10年間パネルコホート研究による継続したデータに対する追跡研究を実施し、身体的、精神的、社会的健康要因に関する多変量解析から、学童期、及び、思春期の健康状態を定量的に測定可能な指標(①学童版社会関連性指標、②食行動指標、③生活習慣指標、④幸福感尺度)を開発した。①学童版社会関連性指標は、3因子13項目(α=0.53~0.77)で構成され、6年後の主観的幸福感及びストレス症状との関連による基準関連妥当性が確認されている。②食行動指標は、2因子14項目(α=0.66~0.80)で構成され、「健康の維持増進につながる食事への関心」「栄養成分、カロリーへの関心」「偏食の有無」との関連による基準関連妥当性が確認されている。③生活習慣指標は、3因子8項目で構成され、「趣味を楽しむ」「喫煙の有無」「飲酒の有無」との関連による基準関連妥当性が確認されている。④主観的幸福感尺度は、3因子10項目(α=0.52~0.71)で構成され、「睡眠」「ストレス」「生活満足感」との関連による基準関連妥当性が確認されている。 専門家によるディスカッションにより「基本情報として集積すべき家族の情報、子どもの情報」を検討した。保護者の子どもへのかかわり、ストレス、サポートの状況などを把握し支援に活用可能な「保護者支援チェックリスト」作成の必要性が示され、保護者支援チェックリスト素案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠期(胎児期)から思春期までの「健康情報管理システム」の開発に向け、当初の計画どおり、「子どもの成長発達に影響する妊娠期、乳幼児期の要因の検討」および「学童期、及び、思春期の健康状態を定量的に測定可能な指標の開発」「思春期に及ぶ成長発達影響要因に関するデータ分析」を実施し、「健康情報管理システム」を通して集積すべき情報項目が選定されている。論文等での研究成果発信のための予算を少額繰り越したため「おおむね順調」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 妊娠期(胎児期)から思春期までの「健康情報管理システム」の開発:平成26年度の研究成果から、妊娠期から思春期までに「健康情報管理システム」上で集積すべき情報を、妊娠期、出産時、新生児訪問時、乳児健診時、1歳6か月児健診時、3歳児健診時、学童期、思春期、家族の状況に分けて整理する。 0~6歳までの情報を集積する「WEBを活用した園児総合支援システム」に、上記の情報内容を追加し、妊娠期(胎児期)から思春期までの当事者と家族の健康情報をクラウド・コンピューティング環境下で集積・活用する「健康情報管理システム」を開発する。 2. 妊娠期(胎児期)から思春期までの「健康情報管理システム」の運用とカスタマイズ:「健康情報管理システム」活用マニュアルを作成し、大都市に隣接する人口5,000人規模の自治体の他、関東の人口70,000人規模の自治体で運用する。自治体専門職を対象に、フォーカス・グループインタビューを実施し、健康情報管理システム内容、および、活用マニュアルの改訂を行う。 3. 思春期に及ぶ成長発達影響要因に関する継続データ分析による保健福祉ケアシステムの提案:健康情報管理システムに集積されたデータ(本研究実施以前のデータと、本研究において集積したデータ)から、学童期、および、思春期の身体的、精神的、社会的健康に関連する要因を複合的に分析する。とくに、妊娠期の生活や家族の状況、乳幼児期の育児環境や家族の状況の思春期への影響を明らかにし、妊娠期から思春期までの保健福祉ケアシステムを提案する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は2つある。 1つは、平成26年度にはコホート研究データから複数の指標開発を行ったが、この成果を、論文等で発表する際の費用(英文校閲、論文掲載料)を今年度予算から支出しなかったことである。分析は終了しているものの、まだ投稿されていない論文が複数あるため、これにかかる予算を次年度に持ち越すこととした。もう一つは、平成26年度に研究会議を4回開催しているが、会議にかかる旅費の請求を行わなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に繰り越した金額は、平成26年度の分析成果を、論文等で発表する際の費用(英文校閲、論文掲載料)として使用する。
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Research Products
(6 results)