2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between the life-stories of people with intellectual disabilities and their awareness of their handicap
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26380825
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
杉田 穏子 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 教授 (50270012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知的障害 / ライフストーリー / 障害の自己認識 / 社会モデル / 社会構築主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成26~27年度の本研究、平成22年度~25年度科学研究費補助金基盤研究(C)課題番号22530661「知的障害のある人の語りによる自己認識の形成過程に関する研究」の計6年間に実施した104名の知的障害のある人へのライフストーリーと障害の自己認識に関するインタビューをまとめる作業と補足のインタビューを行った。本研究の目的は、知的障害のある人の語るライフストーリーを通して障害の自己認識を明らかにしようとするものである。報告書では、104名のうち、障害の自己認識がライフストーリーから読み取れると判断した13名を取り上げ、障害の自己認識の有無、障害の自己認識の否認/認識理由の意味内容と価値付け、障害の自己認識の否認/認識理由の発生要因について、語りから質的に分析しカテゴリー化した。 その結果、直接障害の認識を問う質問に対し13名中「障害がある」と語るのは4名、「わからない」と語るのは2名、「障害がない」と語るのは5名、「語りに変化がみられた」のは2名であった。しかし、社会構築主義・社会モデルの考え方に基づく語りの分析の結果、13名中11名は障害を自己認識しており、認識していないのは2名だった。障害の自己認識の「否認/認識理由」の意味内容を整理し価値付けを見ると、対象者は障害を「肯定的価値付け」「中立的価値付け」「否定的価値付け」「障害の分類を無効化する(強い否定的)価値付け」の四つに価値付けていた。 知的障害のある人が障害を自己認識していても否認する発生要因は、社会の知的障害への低い価値付けであった。そこから生じる侮辱・差別・虐待・暴行行為を受けることによって、知的障害のある人は知的障害に対して否定的な価値付けをしていた。一方、障害のある大人や仲間との楽しい交流、本人の望むサービスの提供によって、知的障害に対して肯定的な価値付けをしていた人もいた。
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Research Products
(3 results)