2014 Fiscal Year Research-status Report
独立型社会福祉士の特性と現状にもとづくより効果的なスーパービジョン方法の開発
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26380831
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Research Institution | Wakayama Shin-ai Women's Junior College |
Principal Investigator |
御前 由美子 和歌山信愛女子短期大学, その他部局等, 講師 (60615110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 理夫 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (30329677)
小榮住 まゆ子(小榮住まゆ子) 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (60509206)
西内 章 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (80364131)
伊藤 佳代子 別府大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10390361)
溝渕 淳 広島文教女子大学, 人間科学部, 准教授 (10368730)
長澤 真由子 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (20446024)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 独立型社会福祉士 / ソーシャルワーク / スーパービジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多様化・複雑化する人々の生活を支援していくために、組織や機関から独立することで、制約にとらわれずに自由裁量性をいかしたソーシャルワーク実践を行う独立型社会福祉士の活動に期待が寄せられている。しかしながら、その社会的認知度や社会的地位について、一般に高いとは言い難い。そして、この要因として、実践の専門性が不明瞭であることが指摘されている(太田・安井・小榮住:2010)。また、これまでの研究(科研費研究基盤C[ソーシャルワークの固有性にねざした独立型社会福祉士の開業システムの構築」平成22年、23年、26年)において、その研修内容を検討する必要のあることがあきらかとなっている。 そこで、本研究では、独立型社会福祉士へのインタビューを実施し、その現任研修の内容について課題を整理する。そして、独立型社会福祉士のソーシャルワーク実践の質を保証するとともに自立性の確保を可能にする方法について検討を行う。これをふまえ、独立型社会福祉士が行うソーシャルワーク実践の専門性の向上をめざして、独立型社会福祉士との協働のもと、実践に対するスーパービジョンに活用可能なコンピュータ支援ツールを開発する。そして、この支援ツールを研修会で試行し、検証することで、独立型社会福祉士の実践に対するスーパービジョンの具体的な方法と現任研修プログラムを提示していくことを目的としている。 このため、平成26年度においては、独立型社会福祉士のソーシャルワーク実践および現任研修の状況やその内容、スーパービジョン体制、ニーズなどについての課題を把握することを目標とした。そして、文献調査や独立型社会福祉士に対するインタビュー調査を実施し、現任研修の内容やスーパービジョン体制、スーパービジョン方法を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の成果として、まず、独立型社会福祉士のソーシャルワーク実践および現任研修の状況やニーズなどの課題把握については、文献調査や独立型社会福祉士に対してインタビュー調査を行い、現任研修の内容やスーパービジョン体制、スーパービジョン方法を整理した。また、日本における独立型社会福祉士に対する社会的評価は一般に高いとはいえないが、アメリカでの地位や収入は高いとされており、アメリカにおける独立型社会福祉士の実践に対するスーパービジョンについても研究を行うこととした。これに関しては、文献調査をこころみたが、スーパービジョンに関する記述のある文献は、想定していたほど多くみあたらなかったことから、アメリカに限らず、他国の文献にあたる必要があるのではないかと考えている。 しかしながら、共同研究者や協力者を交えた話し合いについては合計7回行うことができ、そのなかで、独立型社会福祉士に関する研究を行っている研究者も加わった会合をもつことができた。これにより、独立型社会福祉士に関する研究を行っている研究者にも協力を得られる体制となった。このようなことから、研究は、おおむね順調に進展している考えている。 また、本研究では、スーパービジョンを行う際の具体的な方法として、後述のコンピュータ支援ツールを活用しようと考えているのであるが、これを用いるためには、独立型社会福祉士の行うソーシャルワーク実践の特性を盛り込む必要がある。そこで、この支援ツールに盛り込むべき内容や質問項目についても検討を始めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、独立型社会福祉士の実践の専門性を確立するためには、スーパービジョンが重要であり、その方法を具体化していく必要があると考えている。 これまでにもソーシャルワークにおけるアセスメント場面でジェネラル・ソーシャルワークにもとづいた理論と実践をつなぐエコシステム構想によるコンピュータ支援ツールが実践場面で用いられてきた。本研究では、この支援ツールを独立型社会福祉士のスーパービジョンに活用しようとしているのである。しかし、これを実践場面で用いるためには、基本的な支援ツールを独立型社会福祉士のスーパービジョン用にカスタマイズしたものが必要となる。 そこで、平成26年度から行っている文献調査と独立型社会福祉士へのインタビューをふまえ、独立型社会福祉士の実践特性を把握したうえで、独立型社会福祉士のスーパービジョンに必要であると考えられる構成子を選定していく。また、構成子ごとに質問項目を作成する必要もあり、これらの構成子や質問項目を支援ツールに組み込んでいく作業を行うこととなる。 平成26年度からも支援ツールに組み込む構成子の選定を始めているところであるが、この構成子の選定にあたっては、修正・改善を繰り返しながらの作業となるため、独立型社会福祉士からの意見聴取や協力は欠かせない。このため、平成27年度においても6月、8月に独立型社会福祉士へのインタビュー調査を行うとともに、選定した構成子や質問項目について、独立型社会福祉士とともに検証することがすでに決定している。 このようにして、平成27年度には、基本的なコンピュータ支援ツールを独立型社会福祉士のスーパービジョン用にカスタマイズすることで、独立型社会福祉士のスーパービジョン用支援ツールを開発し、平成28年度にはこれを用いた現任研修を試行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
共同研究者7名が和歌山、神戸、名古屋、大分、高知、広島(2名)に居住していることから、研究者間の打ち合わせやインタビューなどへの交通費として、費用の多くを予定していた。しかし、宿泊費の不足が予想されたため、1度、打ち合わせのための宿泊を研究代表者宅とした。結果的には、これが余剰を生じる要因となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、函館や大分といった遠距離のインタビューを予定している。このことから、今年度には交通費がかさむと予想されるため、平成26年度における余剰金をこれらの交通費に組み込む予定である。
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Research Products
(2 results)