2014 Fiscal Year Research-status Report
就業安定モデルの変化における社会保障制度の機能研究
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26380833
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
西村 幸満 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (80334267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 正 法政大学, 経済学部, 教授 (00425761)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハローワーク / 自立支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、量的データの入力に加えて、公的職業紹介所(以下、ハローワーク)の機能に関してヒアリング調査、資料の収集を行った。ハローワークには、これまで一般労働者・新規学卒者に対する求人情報、企業に対する求職情報、職業訓練の紹介、雇用保険の窓口業務、助成金・補助金の申請窓口などが期待されてきた。近年、その役割には地方福祉サービスの一翼を担うことが期待され、事実、自治体との連携を試みている。連携の実態はかなり複雑で、自治体ごとに一律のものではない。生活保護を受給する前に、自立就労するために、中間的就労などが位置づけられ(生活困窮者自立支援)、ハローワークは地域のニーズに合ったより丁寧な対応を求められている。しかし、ハローワークの機能は、労働需要の高い都市部に集中しており、農村部の町村ではニーズがない。それだけではない。今回、内閣府が都道府県に国の無料職業紹介と自治体の相談室業務を一体化する際の提案を再分析した結果、都道府県でハローワークの自治体への「全面移管」を希望するのは、わずか34%でしかなく(1県は提案なし)、45%は「一か所以上の移管」に留まった。期待するハローワークの役割も34%が「若年対策」、28%が「生活支援などと一体化」、15%が「職業訓練と一体化」となった。ハローワークの権限移譲の議論は知事会などでも提起されてきたが、都道府県レベルでも、どのようにハローワークを自治体で機能させていくか明確になっていない。ハローワークと職業訓練機関との連携は、すでに常設化しており、民間の訓練に拡大していることがわかった。県の提供する職業訓練は、出口の就職においては成果を上げるが、訓練科目は硬直的で、県は改革に苦心するも成果につなげられずにいることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集の進捗は想定していたよりも遅れているものの、困難と思われた公的職業紹介所のヒアリング、ハローワークの出張相談の実態については情報収集が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進んでいる公的職業紹介所(以下、ハローワーク)の拡張機能について、都道府県レベルで実態の収集を引き続きおこなう。可能であればヒアリング調査を実施する。ハローワークの設置地での業務以外に、ハローワークの職員が出向く実態を確認する。地方自治体との連携の実態、期待される役割の実態を調査で探る。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金で賄う予定の作業を研究代表者が負担し、また研究代表者の作業効率を物品費で購入したPCで向上させたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において人件費・謝金として単純作業量を適切に上乗せする。
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Remarks |
西村幸満・白瀬由美香・泉田信行・黒田有志弥「社会保障のサービス窓口と多機関連携との関係」国立社会保障・人口問題研究所『社会保障サービスの受益・業務負担軽減に向けた地域組織の空間的配置・人的連携の基礎的研究』報告書(2015)、pp.5-29
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