2015 Fiscal Year Research-status Report
養介護施設従事者等による高齢者虐待への市町村・都道府県の対応に関する追跡研究
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26380834
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
菊地 和則 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00271560)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 高齢者虐待防止法 / 養介護施設 / 都道府県 / 市区町村 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、有料老人ホームや法外施設などで高齢者虐待の事例が多発している。法外施設における100人近い高齢者の身体拘束、有料老人ホームにおける高齢者のベランダからの転落死など、高齢者の権利侵害は後を絶たない。 国の統計によると平成26年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待は、300件の虐待事実が確認され、被虐待高齢者は691人に達していた(1件で複数の高齢者が虐待を受けているケースがあるため、件数と人数は一致しない)。 本研究は養介護施設従事者等による高齢者虐待(法外施設等を含む)への都道府県および市区町村の対応の実態と課題を明らかにし、高齢者虐待への対応、つまり通報等があった時の事実確認調査、そして改善指導を適切に実施できるようにするための基礎資料を得ること、および、平成21年度に実施した同様の調査の結果と比較して、都道府県および市区町村の虐待への対応能力がどの程度向上したかを明らかにすることを目的としている。 平成27年度に検討し作成した自記式調査票を用いて、47都道府県および全市区町村1,729ヶ所(東日本大震災の原発事故に係る福島県の避難市町村12ヶ所を除く)に対して郵送調査を平成27年8月1日~21日に実施した。虐待および対応の実績については平成26年度について回答を求めた。回収数(率)は、都道府県は30ヶ所(63.8%)、市区町村は553ヶ所(32.0%)であった。そしてデータを入力しデータベースを作成した。 市区町村の回収率は3割に留まったが、虐待件数は300件中139件(46.0%)、被虐待高齢者は691人中401名(58.0%)が含まれていた(無効票無しでの数)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成26年度から28年度の3ヶ年を予定している。初年度は調査票の作成、2年目は調査の実施、3年目は調査結果の分析および提言等を含めた報告書を作成し、都道府県および市区町村に送付する予定である。 平成27年は予定通り調査を実施しデータベースを作成した。現在、研究は当初の予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に作成したデータベースを分析し、都道府県および市区町村の虐待対応の実態、事実確認調査および改善指導における困難などを明らかにするとともに、平成21年度に実施した同様の調査と比較し、養介護施設従事者等による高齢者虐待への対応能力向上に資する要因を明らかにする予定である。 また、分析結果に基づいて提言等を含んだ報告書を作成し、都道府県および市区町村に送付し、虐待対応能力の向上に役立ててもらう予定である。
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Causes of Carryover |
調査は予定通り実施したが、当初、市区町村の調査票の回収率を平成21年度に実施した同様の調査の回収率に基づいて約4割と想定していた。 しかし、調査を行った結果、回収率は約3割と想定よりも低くなった。また、自由記述も平成21年度の実績に基づいて予算を計算していたが、自由記述の回答も少なかった。そのためデータ入力に予定していた費用が大幅に減り、そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は報告書を作成し47都道府県および全市区町村1729ヶ所(東日本大震災の原発事故に係る福島県の避難市町村12ヶ所を除く)に送付する予定である。送付先が1800ヶ所近くに達すること、報告書を作成するために有識者による研究会を設置しているが、その謝金および報告書作成補助のための臨時職員を雇用する予定であり、次年度使用額および平成28年度交付予定額を含めて、全額を執行する予定である。
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