2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380838
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福野 光輝 山形大学, 人文学部, 准教授 (30333769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
公共事業において社会全体の利益を追求する行政と、負担を強いられる地域住民との利害対立をどう調整すべきかは重要な問題のひとつである。本研究の目的は、応募者によるこれまでの研究をさらに展開し、公共事業紛争における人々の認知構造を明らかにするとともに、効果的な合意形成手続きを探ることである。具体的には、利害対立時に人々が行う2つの分配的公正判断(マイクロ公正とマクロ公正)を区別し、公共事業紛争の解決をうながす鍵と考えられるマクロ公正判断のさらなる規定因として、システム正当化動機の役割を検討することを目的とした。当該年度は、まず近接概念である公正世界信念とシステム正当化動機の異同を理解するため、前年度に収集した調査データを分析し、公正世界信念とマクロ公正感の関係を調べた。具体的には、以下の仮説を検討した。マクロ公正感の高い人は、それが低い人より、現状の公共事業を肯定的に評価すると考えられる(仮説1)。マクロ公正判断が、個人の利益より社会全体の利益に注目するものであるならば、「世の中は公正な世界であり、たとえ不公正な目にあっても将来的には埋め合わされる」という公正世界信念(Lerner & Simmons, 1966)を強くもつことは、それが弱いときより、公共事業にともなう現状の不利益や負担を、長期的な視点から再解釈する機会を与えるだろう。それゆえ、マクロ公正感が公共事業への肯定的評価を促すという仮説1の傾向は、公正世界信念の弱い人より強い人において、顕著になると予想される(仮説2)。分析の結果、いずれの仮説も支持されたことから、公共事業への支持を規定する要因の1つがマクロ公正感であるとともに、この過程が一般的公正世界信念の強弱によって調整されうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度にシステム正当化動機とマクロ公正感に関する調査を実施する予定であったが、当該年度の後半に、学外業務とテーマの異なる他の研究活動に時間をとられ調査計画を確定することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度後半には、学外業務の拘束も外れるため、年内に調査計画を固め、年明けに調査を実施できるように準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施予定であった質問紙調査が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度から次年度に繰り越した予算は、2016年度に行う質問紙調査の実施経費に当てる。
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Research Products
(1 results)