2015 Fiscal Year Research-status Report
多層的文化内での幸福感の対人的基盤:農業・漁業・企業分析
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26380842
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 由紀子 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (60411831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 幸祐 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (20595805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化 / 幸福感 / メンタルヘルス / 地域 / 企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、文化の多層性に焦点をあて、幸福感とそれを支える社会関係の文化的基盤を解明することにある。その際、第1層としての「日本文化」と、第2層としての「農漁村を含んだ地域文化」ならびに「企業文化」に着目する。他者との協調的な関係が幸福の主要な源であるとされてきた日本文化において、第2層の文化間にみられる交通性と差異を分析すること、そして第1層と第2層の間に生じる相克を検証する。そして、個人レベルの性格特性や態度などの要因と、マクロレベル(地域や企業風土など場の効果)への調査と分析を実施、それぞれがどのように幸福感やメンタルヘルスに関わるのかを検討した。 平成26年度に地域調査を実施して農漁村の比較を行えるデータセットを構築したこと、企業の調査に着手したことを土台に、平成27年度にはその成果を論文・学会・講演会を通じて発表した。地域調査については、農漁村地域文化の比較を重点的に行い、マルチレベル分析を用いて、農業・漁業従事者個人単位だけではなく、農漁村の生業に根ざした地域文化圏のマクロレベル特性がどのように幸福感に寄与するかを検討することができた。農業・漁業地域へのフィールド・聞き取り調査を実施した。また、企業従業員調査のデータ収集と分析を実施し、これまでに15社での従業員調査を実施した。あわせてウェブ調査も行った。組織内のつながりと信頼関係が会社への愛着につながること、一方で個人の主体性が担保される環境であることが幸福感に寄与していることが明らかになった。企業ネットワーク構築に関わるNPO法人と連携して企業へのフィードバックや講演活動を行った。 さらにアメリカでは企業従業員へのウェブ調査を実施、職場におけるソーシャル・キャピタルとメンタルヘルスの関係性についての文化共通性を見いだした。ドイツでは大規模データベースにアクセスしての分析実施に着手、韓国での社会関係についての調査も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
農業者・漁業者・企業調査ともに順調に経過した。国際比較調査についても予定通りの実施ができた。さらには講演活動や調査対象企業へのフィードバック実施などを通じて当初の予定よりも研究結果のアウトリーチ活動を実践することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は最終年度であるため、これまでのデータを統合して分析を進める。具体的には下記の点を実施する。 (1)地域データについては引き続きマクロデータ(センサスデータなど)とのドッキング作業を進め、マルチレベル分析をさらに実施する。農業コミュニティならびに漁業コミュニティの風土の共通性と差異について詳細に検討する。インタビュー調査などで得られた観点からも解釈を行う。 (2)企業データについても引き続きさらに10社ほどでの調査を実施、企業風土ごとの分析が行えるようにする。企業へのインタビュー調査などで得られた観点からも解釈を行う。特に家族経営型の企業と、より成果主義的で専門家集団的な企業を比較し、業態による差異などを検討する。 (3)国際比較調査における第1層の「日本文化」の特徴の精緻化(特に企業風土に関わる社会階層についての理論的精緻化)を実施する。これまでの結果から、社会階層のあり方ならびにタテ型・ヨコ型のつながり・信頼関係のあり方がそれぞれの第2層の文化には特徴的であることが見えてきたので、この点における日本文化の特徴を明らかにする。 (4)上記1~3の知見を統合し、多層な文化的特性が幸福感と人々の結びつきとの関わりに与えるメカニズムを解明する。また、人々の心に影響を与える文化の範囲についての議論の精緻化と、多層な文化間の不一致が心の相克に与える影響を検証することを目指す。 特に、論文執筆、書籍の執筆、講演などのアウトリーチ活動も実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度末に一件発生する予定だった旅費(東京への国内出張)を平成28年度に延期ししたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中の国内旅費として使用する。
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Research Products
(15 results)