2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of network structure and organizational system to preserve self-control resources in fulfilling social motivations.
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26380845
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
相馬 敏彦 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60412467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和寛 比治山大学短期大学部, 総合生活デザイン学科, 講師 (30462055)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的動機 / 選択的注意 / 注意の幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの複数の研究の成果をまとめると同時に、補足的な実験を行い、回避動機の充足プロセスを理解するための有益な示唆を得た。 前年度までに行った研究は、社会関係の維持や課題に関連した場面での回避動機の充足が、接近動機のそれに比べて自己制御資源を必要とする可能性を強く示唆していた。その背景となるメカニズムに迫る上では、接近動機もしくは回避動機が駆動した場合の注意範囲の違いに着目することが有効である。そこで、補足的に大学生114名を対象とする実験を行った。事前の操作によりポジティブ感情もしくはネガティブ感情を誘導した場合、あるいは特定の感情を誘導せずに簡易な思考のみを行った上で、選択的注意に関する動画を視聴してもらい、指示対象への注意を測定した。注意の正確性によって対象への注意を、対象外の手がかりについての再認によって対象外への注意を指標化し、統制条件をベース・カテゴリーとした上でロジスティック回帰分析を行った。結果は、ネガティブ感情を誘導された場合、指定された対象に選択的に注意が向けられる一方、対象外への注意が欠如することを示していた。ポジティブ感情を誘導された場合には同様の結果は示されなかった。 上記の結果は、回避動機の充足プロセスにおいて、注意を向けるべき対象が存在する場合、選択的注意が生じやすく、それによって制御資源が枯渇しやすくなることを示唆している。つまり、社会的回避動機の充足に社会的環境変数が関与した場合の心理プロセスを理解する手がかりとなる知見であり、今後関連学会で発表する予定である。
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