2014 Fiscal Year Research-status Report
道徳感情の理解の発達:幼児期から青年期にかけての発達の規定因と道徳的行動への影響
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26380847
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
長谷川 真里 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10376973)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 道徳性 / Happy Victimizer / 感情推測 / 道徳判断 / 罪悪感 / 道徳的感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3つの研究を行った。研究1は、幼児と小学2年生を対象としたインタビュー調査である。Happy Victimizerが生じる理由を探るために、道徳逸脱場面および道徳とは無関係のルール逸脱場面における感情帰属を検討した。その結果、ルール逸脱場面においてポジティブ感情を帰属した子どもは道徳逸脱場面でポジティブ感情を帰属する(HV反応)が、ルール逸脱場面でネガティブ感情を帰属した子どもは必ずしも道徳逸脱場面でネガティブ感情を帰属しなかった。このように、HV反応は、ルール逸脱とネガティブ感情の関係の理解以外の要素も含まれることが示唆された。そこで研究2では、幼児と小学2年生に対し、道徳逸脱の通常場面、ルール強調場面、被害者強調場面を提示した。その結果、ルール強調場面と被害者強調場面においてHV反応が減少した。HVが生じる原因は複合的な理由によるものと考えられるが、その一部を明らかにした。研究3は、小4、小6、中2、高1、大学生を対象に、慣習的逸脱場面と道徳的逸脱場面を提示し、自分ならどうするか(道徳判断)、その時の感情(感情帰属)、そのような感情になる理由(理由づけ)を求めた。同時に、QOLまたは生活満足度を調査した。道徳判断と感情帰属の組み合わせで、HV,UHV,HM,UHMの4パターンに分類したところ、先行研究と異なり、青年、大人であってもHM(Happy Moralist)は少なかった。詳細な分析は終了していないが、少ないながらもHMの者は生活満足度が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼児から大学生まで650人以上のデータを収集し、3つの研究を行った。当初予定していた研究を実施できたので、おおむね順調に進呈している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果からあらたな課題がみえたので、感情理解の発達モデルを構築するためには、申請時に予定していなかった実験も来年度以降実施する必要が生じている。
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Causes of Carryover |
当初の計画以外に、理論的な整備の為の追加の実験が必要となった。追加実験の計画の為にあらたに物品を購入する必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
感情の発達に関する専門書を購入する。
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Research Products
(5 results)