2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of intergroup respect on intergroup conflict resolution process.
Project/Area Number |
26380852
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
熊谷 智博 大妻女子大学, 文学部, 准教授 (20400202)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 集団間紛争 / 紛争解決 / 和解 |
Outline of Annual Research Achievements |
集団間紛争解決を促進する心理過程として、対立集団から尊敬されているという感覚、すなわちメタ尊敬の感覚が、集団間和解的態度に与える影響について、本年度は研究1として外集団に対する態度が生活満足度や経済状況に影響される可能性を要因に加え、日本全国300名を対象としたインターネット調査を行った。研究2では日本人500名を対象として中国人、韓国人、フィリピン人に対する現実的脅威、象徴的脅威及びそれを規定する要因として外国人住民の比率の影響を検討するインターネット調査を実施した。 結果は研究1ではこれまでの通りメタ尊敬が外集団成員の温かさ認知を強め、それを介して謝罪や補償と言った集団間和解的態度を強めていた。一方経済状況と主観的生活満足度は共に外集団に対する認知を否定的にしていたが、その効果は弱い事が明らかになった。 研究2ではこれまで通りメタ尊敬が外集団に対する温かさ認知を強め、それが集合的罪悪感や集合的羞恥を介して謝罪と和解に対する支持的態度を強める過程が確認された。また外国人住民の比率については総務省のデータから求めた実際の外国人住民比率に加え、主観的に知覚された外国人住民比率のデータを回答者の住所を元に都道府県、市区町村レベルで測定し、外国人に対する脅威知覚に与える影響の差を検討した。その結果中国人、韓国人、フィリピン人のいずれにおいても実際よりも外国人比率を高く知覚する傾向が見られ、その知覚された比率に基づいて外国人に対する脅威知覚が強められていることが明らかになった。 これらの結果はこれまでの申請者による研究結果と一致しており、集団間和解において尊敬の感覚が和解促進的な効果を持つこと、特にメタ尊敬という、外集団では無く内集団を対象としたポジティブな認知が集団間和解を促進する可能性を示す事が出来、紛争当事者の自発的な和解的態度を促す新たなアプローチを提供できた。
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