2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380855
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己関連情報 / 文化的バイアス / 自尊心 / ERP成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己関連情報における文化的バイアスが見いだされるかどうかを検討するため、今年度は、日本人大学生19名(男性9名,平均年齢=19.90, SD=.66)に対し、文章課題(主人公 (自己,他者)X情報価(正,負)の4つの条件)を呈示し,その後の主人公の自尊感情の変化をたずねる実験を実施し、その際のERP反応を測定した。 また自尊心、社会的不安尺度を用いた質問紙をその後実施した。同様の手続きで、平行して収集されたアメリカ人大学生(24名)のデータと日本人大学生(26名)のデータを自己の条件のみで比較したところ、前頭中心部でみられるP2、N2で、情報価x文化の交互作用が見いだされた。日本人はP2とN2において、正の情報より負の情報に対し、陰性の電位が有意に大きかった。アメリカ人ではP2とN2において、正負の情報の条件間で平均電位の差は有意でなかった。また、日本人における自己条件と他者条件を比較したところ、N1では自他条件の間に差異がみられなかったが、P2では男性において、負の自己関連情報は正の自己関連情報より陽性電位が弱くなるといった差異がみられた。これらの結果は、正負の自己関連情報への注意における文化差が事象関連電位の初期成分でみられ、自己認識の文化差は、初期の注意の段階において生じる可能性を示唆するものであるといえよう。しかしながら、アメリカでの自他条件の差異、性別の効果、行動指標(自尊心尺度)の方向性との関連が予測と異なっていた。これらのことを検討するために、実験課題の調整を再度行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように、アメリカでの自他条件の差異、性別の効果、行動指標(自尊心尺度)の方向性との関連が予測と異なっていたため、実験課題について、再度検討し、日米での調整をはかった。そのため、遺伝子データと脳波測定を同時に行う予定が遅くなり、来年度実施となった。
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Strategy for Future Research Activity |
日米間での課題の妥当性を検討し、実験課題の長さ、単語数を均等化し、脳波の課題にViolation課題を加えることとした。遺伝子の収集を行う実験を来年度すぐに開始し、最終的な検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験課題の設定に時間がかかり、唾液の収集と脳波測定を行う研究が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
唾液収集と脳波測定を80名に対して、翌年度開始から迅速に実施する。
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